新型コロナウィルス感染症の世界的パンデミックの影響で、海外旅行や留学、ホームステイなどを望む人たちにとっては、残念な期間が長く続きました。
高校生になったら、大学生になったら「留学したい!」「海外に行ってみたい!」と思っていた人もいたでしょう。
けれども、そうした希望を叶えるにはなかなか厳しい状況が現在も続いているようです。
けれども諦めることはありません。
このような厳しい環境の中でも留学ができる方法はあります。
幸いなことに、海外渡航の条件が以前より緩和されたこともあり、またこれからも状況は改善に向かいつつあるのではないかと予想されています。
2022年6月1日現在(本記事の作成当時)、外務省で指定される感染症危険情報「レベル1」に引き下げられた国の数は、以前よりも増えています。
渡航先によっては日本への帰国時にPCR検査や隔離の必要がないなど、以前よりも海外へ留学しやすい状況が整えられつつあります。
今回は、海外留学を目指している人がコロナ禍でも諦めないで留学できる方法はあるのか、そのためには何をすれば良いのかについて紹介しつつ、留学した先の海外の学校ではどのような状況なのかお知らせしたいと思います。
ぜひこれから留学したいと考えている皆さんは参考にしてみてください。
※2022年6月1日現在の調査状況になります。
※この記事では、各国の留学状況と日本帰国時の水際対策などの情報をお伝えしていますが、状況によっては新たな情報が更新されることが考えられます。ご自身でも外務省サイトなどから各国の対応について都度ご確認いただくようお願いします。
いま日本から海外へ留学・ホームステイはできる?海外ではどんな状況?
昨年などと比べると少し新型コロナウィルスによる感染状況が改善の兆しが見えてきたものの、まだ予断を許さない状況は続きます。
そこで、現在のコロナ禍において留学をする上で知っておきたいことは、留学先である現地の状況です。
留学先の現地の情報は、外務省で発表している海外安全情報をチェックすることで知ることができます。
この海外安全情報は、日本から海外へ渡航する際に、必ず参考にしたい情報で、そこには行き先が安全かどうかの指標となる情報が掲載されています。
海外安全情報には「感染症危険情報」と「危険情報」があり、これらは法的な拘束力はありませんが、十分信頼できる指標です。
この2つの情報をもとに、留学の計画を立てるようにしましょう。
【感染症危険情報】
「感染症危険情報」は、新型コロナウイルスなど、危険度が高い感染症に関して、渡航や滞在に特に注意が必要と考えられる国や地域についての危険レベルが発表されています。
レベルは以下の3段階で、それぞれ次のようになっています。
<感染症危険レベル1>十分注意してください
<感染症危険レベル2>不要不急の渡航は止めてください
<感染症危険レベル3>渡航は止めてください
日本人に人気の留学先であるアメリカ、カナダ、イギリス、アイルランド、スペインは、感染症危険情報「レベル1」に引き下げられました。
その他、マルタ、フランス、ドイツ、イタリア、オーストラリア、ニュージーランドは「レベル2」を継続しています。(2022年6月1日現在)
【危険情報】
「危険情報」は、その国の治安や社会情勢などを総合的に判断し、中・長期的な観点から、渡航や滞在する際に特に注意が必要と考えられる国や地域について発表される安全対策の目安レベルです。
「感染症危険情報」や「危険情報」といった「海外安全情報」は随時更新されています。
最新情報は外務省海外安全ホームページをご自身でご確認いただき、常に最新の情報を入手するようにしてください。
日本から留学するときに留学先の情報を入手するのはもちろん大切ですが、日本へ帰国する際の入国時の情報も重要です。
海外からの日本帰国時の水際対応では、2022年6月1日より、帰国者に対する水際対策が変更になりました。
具体的には、留学などで滞在していた国の区分と有効なワクチン接種証明書があるかどうかで帰国時の検疫措置が異なります。
日本へ入国・帰国する時にどのように手続きすれば良いかについては厚生労働省のホームページを確認してください。
上記のことを踏まえて、今、留学に行けるかどうかと尋ねられれば、留学へ行くことはできます。
海外からの入国を許可している国については、留学することができます。
ただし、現在は一般的な英語圏などの留学先については、「感染症危険情報レベル2(不要不急の渡航中止)」と外務省より定められている国もありますので、渡航を希望する場合は、そのリスクをしっかりと理解してから渡航するようにしてください。
帰国後の隔離についても渡航先の国や状況によって異なります。
自主隔離期間中は、ホームステイ先、寮、ホテルなどに滞在をしなければなりません。
滞在先の手配については、留学エージェントや旅行会社などでしてもらえます。
また、国や都市によっては隔離中の食材の買い出しサポートや、オンライン学習をサポートしてくれるサービスもあるようなので、一度調べてみるといいかもしれませんね。
留学先の学校での感染対策については、多くの学校では1クラス当たりのクラス人数を減らすなどといった感染対策をしているところが多いようです。
また、日本の学校と同じように登校時の検温や体調確認、机やドアの定期的な消毒などの感染対策も行っています。
最近では中国・上海でのロックダウンが大きな話題になりましたが、場合によっては街全体がロックダウンする可能性もあると考えておいた方が良いでしょう。
各国の措置レベルにもよりますが、ロックダウンの状態になった場合は、ほとんどの学校ではオンラインでの授業となるようです。
また、仮にロックダウンになった時にも、ほとんどの国では生活必需品の買い物や飲食店のテイクアウトは許可されているので、食事などの心配はほとんどありません。
日本からの留学を受け入れている国はどこがある?その国はどんな感じ?
では、日本人の留学者を受け入れている国は現在どのような国があるでしょうか。
また、その国の現在の状況はどのようになっているのでしょうか。
2022年6月1日現在の詳しい状況を次に紹介します。
<アメリカ合衆国>
日本国籍の人のアメリカへの留学状況は、「〇」。渡航・留学は可能です。
90日以内の短期留学(ESTA(電子渡航認証システム)をオンライン登録済み)も可能で、週18時間以上の授業時間または1学期12単位以上履修する留学(有効な学生ビザを取得済)も可能です。
入国は原則、ワクチン接種完了者に限り入国が許可されており、出発前のPCR検査は出発前1日以内の検査が必要です。
入国後の行動制限についてはありません。
アメリカ合衆国の多くの学校では、現在の感染状況により対面授業が再開されたり、オンラインと対面授業を組み合わせたハイブリッド型の授業を行っています。
新型コロナワクチンについては、学校へ登校するためにブースター接種を必須としている大学などもあります。
ただし、訪れる州によって異なる場合があります。
また、入国後3~5日のPCR検査と、公共交通機関を利用する際のマスクの着用を推奨しています。
<カナダ>
日本国籍の人のカナダへの留学状況は「〇」。渡航・留学は可能です。
6ヵ月以内の短期留学(学生ビザの取得は免除、eTA(電子渡航認証システム)のみ)は可能で、6ヵ月以上の長期留学(カナダ政府により承認された学校に就学する有効な学生ビザを取得済)、ワーキングホリデー(有効なビザがあること)も可能です。
入国は原則、ワクチン接種完了者に限り許可されており、出発前のPCR検査は不要、入国後の行動制限もありません。
また、入国時にランダムに選ばれた人のみPCR検査をされることがありますが、その際、結果が出るまでの隔離措置は不要となっています。
カナダ入国時にはワクチン接種完了が必要とされていましたが、2022年4月1日からは、入国時のPCR検査陰性証明書の提出は不要となりました。
18歳未満の留学生は、カナダ政府から承認された学校に通う場合のみ、上記ルールの対象外となっています。
<イギリス>
日本国籍の人のイギリスへの留学状況は「〇」。渡航・留学は可能です。
6ヵ月以内の短期留学(学生ビザの取得は免除)は可能で、6ヵ月以上の長期留学(有効な学生ビザを取得済)、ワーキングホリデービザ(有効なワーキングホリデー(ユースモビリティスキーム)ビザを取得済)も可能です。
また、これから学生ビザを申請する場合でも取得ができれば留学が可能です。
出発前のPCR検査は必要なく、入国後の行動制限もありません。
また、イングランドではすべての行動制限が解除されましたが、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドでは各自治政府が独自に策定した行動制限や対策を別途実施しています。
イギリスの語学学校では、英語学校の品質を管理する団体English UKが作成する「新型コロナウイルス安全ガイドライン」に沿って、学校の教室から留学生の滞在先までしっかりとした感染症対策を行い留学生の受け入れを行っています。
<オーストラリア>
日本国籍の人のオーストラリアへの留学状況は「〇」。渡航・留学は可能です。
90日以内の短期留学(ETA<電子渡航認証システム>をオンライン登録済み)は可能です。
また、3ヵ月以上の長期留学(有効な学生ビザを取得済)やワーキングホリデー(有効なビザがあること)も可能ですが、原則ワクチン接種完了者に限り入国が許可されています。
学校では対面式授業を再開しつつ、並行してオンライン授業を始めるなどのwithコロナ時代の留学を見据えた取り組みを進めています。
出発前のPCR検査は不要で、入国後の行動制限に関しては、到着後24時間以内にRATもしくはPCR検査が必要(州により異なる)とされています。
現在新型コロナウイルスのワクチン接種を完了していれば、オーストラリアへの渡航が可能です。
ただし、オーストラリアでは海外渡航者の入国制限の解除に向けた動きやルールなどは州によって異なりますので、最新情報は大使館公式サイトなどで確認しましょう。
<アイルランド>
日本国籍の人のアイルランドへの留学状況は「〇」。渡航・留学は可能です。
3ヵ月以内の留学(学生ビザの取得は免除)、3ヵ月以上の留学(アイルランド入国時に学生ビザを申請)、ワーキングホリデービザ(有効なワーキングホリデービザを取得済)なども全て可能です。
出発前のPCR検査は必要なく、入国後の行動制限もありません。
アイルランド国内の語学学校では、順次、対面式授業を再開し、学校によってはオンライン授業と対面授業を並行して行っているところもあります。
アイルランドでは、3/6以降、入国者に対して乗客追跡フォーム(Passenger Locator Form)の入力と、ワクチン接種証明書およびPCR検査による陰性証明を提示する義務を撤廃するなど、規制緩和が続いています。
公共交通機関や病院などでマスク着用は推奨していますが、基本的にマスク着用の義務は解除されました。
<マルタ>
日本国籍の人のマルタへの留学状況は「〇」。渡航や留学は可能です。
3ヵ月以内の短期留学(学生ビザの取得は免除)、3ヵ月以上の長期留学(マルタ入国時に学生ビザを申請)は可能です。
出発前のPCR検査は、ワクチン未接種者は必要です。
入国後の行動制限は、ワクチン接種完了者は不要ですが、ワクチン未接種者は入国後14日間の自己隔離が必要とされています。
新型コロナウイルスのワクチン接種が完了から14日以上経過している人は、接種証明書の提示とVeriFLYアプリをダウンロードし、証明書が認証されることで14日間の自己隔離も免除となっています。
<ドバイ>
日本国籍の人のドバイへの留学状況は「◎」。渡航・留学は可能です。
出発前のPCR検査について、出発前48時間以内に必要ですが、ワクチン接種完了者は不要(QRコード付きのワクチン接種証明(英語)が必要)です。
また、入国後の行動制限はありません。
ドバイは人口の約80%が外国人という国際都市。
世界トップレベルの治安の良さで、新たな留学先として人気が高まってきています。
ドバイ国内では新型コロナワクチンの接種が着実に行われており、現地到着後の隔離制限もないので、現在は他国と比べて短期間の留学スケジュールを立てやすくなっています。
<フランス>
日本国籍の人のフランスへの留学状況は「〇」。
出発前のPCR検査については、出発前72時間以内の検査が必要ですが、ワクチン接種完了者であれば必要ありません。
入国後の行動制限についてもありません。
<イタリア>
日本国籍の人のイタリアへの留学状況は「〇」。
出発前のPCR検査は、出発前72時間以内に必要です。
入国後の行動制限については、ワクチン接種を完了した人は不要です。
ただし、入国後の自己隔離が免除されるには、入国時にワクチン接種証明書または治癒証明書、PCR検査の陰性証明書、居所情報に関するデジタルまたは紙のフォーマットの提示が必要となります。
ワクチン未接種者は、入国後5日間の自己隔離が必要となります。
<スペイン>
日本国籍の人のスペインへの留学状況は「〇」。
ただし、スペインに入国するには、ワクチン接種証明書または治癒証明書、PCR検査の陰性証明書の提示が必要となります。
また、出発前に専用ウェブサイト「Spain Travel Health -SpTH-」での健康状態申告書の記入が必要となります。
出発前のPCR検査は、出発前72時間以内のものが必要ですが、入国後の行動制限はありません。
<ドイツ>
日本国籍の人のドイツへの留学状況は「〇」。ただしデジタル入国登録が必要です。
出発前のPCR検査は、ワクチン接種が完了している人は必要ありません。
ワクチン未接種の人は必要です。
入国後の行動制限については、原則、10日間の自己隔離が必要(渡航前に回復証明書またはワクチン接種証明書がドイツ入国ポータルサイトに提出されていれば、隔離は不要)です。
<フィリピン>
フィリピンは2022年2月10日からワクチン接種が完了した渡航者(観光目的や既存の有効なビザを持つ外国人)の入国が可能になりました。
フィリピンへの留学は、短期留学(30日以内)の場合はビザが必要ありませんが、5週間(31日以上)滞在する場合は、観光ビザを現地で延長する必要があります。
また、大学や高校へ留学する場合には学生ビザの取得が必要になります。
出発前のPCR検査については、ワクチン接種を3回完了している人は必要ありません。
入国後の行動制限もワクチン接種証明書の提示が必要ですが、特にありません。
<ニュージーランド>
日本国籍の人のニュージーランドへの留学状況は「〇」。渡航や留学は可能です。
3ヵ月以内の短期留学(学生ビザの取得は免除)は可能ですが、3ヵ月以上の長期留学はまだ受け入れられていません。
出発前のPCR検査は出発前48時間以内に必要ですが、入国後の行動制限は特にありません。
その際はワクチン接種証明書の提出が必要となります。
2022年5月1日から、日本を含むビザ免除国からのすべての旅行者に対して、入国制限が撤廃されました。
入国の要件として、原則ワクチン接種が完了していることとPCR検査陰性証明書の提出が必須となります。
まとめ
このように、渡航先の国に入国する際の制限や、入国した後の自己隔離などの行動制限の有無については国により対応が異なります。
各国の対応についての最新情報は、外務省サイトで随時更新されていますので、積極的に情報収集に努めましょう。
コロナ禍であっても、行きたいと思う国への海外留学を諦めることはありません。
常に最新情報をチェックしながら計画的に留学プランを立てることをお勧めします。
※記載の情報は2022年6月1日現在の情報をもとにしています。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。