勉強は、基本、小学校→中学校→高校→大学とレベルアップしていくものです。
そのため、中学など早い段階でつまずいてしまうと、いざ高校から奮起しようとしてもなかなか取り戻せないことがあります。
なるべくつまずかない、つまずいてもなるべく早く元のペースに戻して歩き出す、こういった視点が重要です。
中学にはつまずきやすい科目がある
科目によって、特につまずきやすい科目、つまずきが尾を引きやすい科目があります。
「積み上げ型」の英語と数学
それは、積み上げ型の科目です。
たとえば、英語や数学がこれに当たります。
英語は基礎的な文法ができていないと、その後の発展的な文法問題や長文読解に対応できません。
数学もまた、一次関数でつまずいてしまえば二次関数を理解できません。
一方で、理科は単元ごとにぶつ切りの要素が強く、一つの単元でつまずいても次の単元は全く別の要素になったので理解できる、ということがあり得ます。
社会も同様です。
歴史でいうと、古代はよく分からなかったけれど、江戸時代はイメージがしやすく楽しく勉強できた、といった感じです。
今回は、特に中学生がつまずくことが多く、一度つまずいてしまうとなかなか克服できない英語と数学について、焦点を当てて解説していきます。
中学のつまずきやすい教科「英語編」
中学英語では長文の速読力は大きく求められない
中学の英語は、英文を読んで親しみ、徐々にスピードを加速させていく、といった大学受験レベルに多くの場合達しません。
一部の有名な私立高校を目指している人は別ですが、普通に地元の公立に行くのであれば、普通の高校入試を受けます。
公立高校入試の場合、英文の文字数は大学入試に比べればかなり制限されていて、そこまでスピードが求められません。
たとえば、社会人が受けることが多いビジネス英語の代表格TOEICのリーディングセクションは、全体での文章量が非常に多く、時間内に解き切らなかったという人がやはり非常に多くいます。
時間が足らなくてリーディングセクションが200点しか取れなかった、という人も、高校入試レベルであれば普通に時間内に解き切れるケースがほとんどです。
このように、一般的な英語試験における長文読解スピードが中学では求められません。
基本的な文法知識の記憶が求められる
それよりも、先述したような基本的な文法を理解しているか、文章構造を一定程度把握して読んでいるか、こういったことが問われます。
つまり、英語が極めて記憶型の勉強になるということです。
この記憶型の文法でつまずく子が非常に多いです。
以下では、特につまずきすい具体例をみていきます。
文型(SVOC)
SVOCという文型があります。
これはそれぞれ、S=主語、V=動詞、O=目的語、C=補語を表しています。
確かに、日本語を憶えるときに、主語や目的語を理解してから学んだ、という人はいないといって良いです。
しかし、試験における得点の確実性を上げるためには、この文型の理解が大事です。
特に文型をしっかりと理解しておくことで、後々の長文読解や英語そのものへのハードルを下げることにもつながります。
■SVOCの例文
これを理解するときに、よく例文が出されます。
上の文型は、SVCです。
すなわち、He=主語、is=動詞、smart=補語、といった具合です。
次の例文を挙げます。
これは、He=主語、Plays=動詞、basketball=目的語です。
このように例文で理解させることが多いです。
もちろん、この基本的な例文は憶えておいたほうが良いです。
大事なのは、新たな文章がでてきたときに、ちゃんとSVOCを判断できることです。
たとえば、
ならSVC。
ならSVOです。
ならSVOOです。
以上の判断できれば、文型については基本を理解しているといって良いです。
逆に憶えた例文がそのまま試験に出たら答えられるけれど、新たな文章が出たら判断できない、というのではつまずいています。
■目的語と補語でつまずく人が多い
どれが主語でどれが動詞かを判断できない人は少ないです。
いたとしても、少し説明すればすぐに理解できます。
よりダイレクトにつまずく人が多いのが、目的語と補語の区別です。
簡単な理解でいうと、目的語はその名のとおり動詞の目的となる名詞、補語は主としてbe動詞の後にくる形容詞だと考えれば試験上も実務上も問題ありません。
He Playsの次に、彼は何をプレイするのかという目的語が来ます。
He plays the basketball.で、バスケットボールが目的語だと分かります。
その湖は綺麗だ、という文ならもちろん綺麗という形容詞が補語になるわけです。
その湖は「綺麗だ」、ということです。
■文型の基本がないと長文に対応できない
このような理解がないと、長文を読むときに誤ってしまったり、遅くなったりします。
英語の文章は関係詞や分詞によって動詞や形容詞、補語を含んだ長い一文がそれごと主語になることがあり、それを瞬時に見抜くには、SVOCの基本文型の理解がなければなりません。
これまで例示してきたような短い文であれば、特にSVOCの理解があろうとなかろうと、読解スピードは変わりません。
しかし、今後高校入試、その先の大学入試と進んでいくにあたり、この基礎があるかないかが大きな差となります。
つまり、SVOCの文型理解でつまずいたままにするのはNGです。
SVOCという文型については、例文とともに憶えておかなくてはなりません。
基本事項を憶えているからこそ、初見の文を見たときに文型がぱっと脳裏に思い浮かびます。
be動詞・動詞の変化
記憶型の要素でつまずく人が多いのが、文型の他にbe動詞や、主語・時世に応じた動詞の変化です。
■be動詞の変化
be動詞や動詞は、主語や時制に応じて変化をします。
I am Home.
You are Home.
主語が私なのか、あなたなのかによって、be動詞が変化します。
これは憶えなくてはなりません。
さらに、
He is Home.
They are Home.
といったように、単純な私、あなたの別だけではなく、彼や彼らといった三人称もまた、その違いによってbe動詞が決まります。
これもまた記憶しなければなりません。
・注意点
基本的には、主語が彼や彼の母、そのペン、といった単数であればisを、私たちや彼ら、そのいくつかのペン、といった複数であればareを使う、と憶える人が多いです。
ただ、be動詞はそう簡単ではありません。
ここまではなんとか記憶できても、その先でつまずく人がいます。
その先とは、数えられる名詞と数えられない名詞です。
Some studentsとSome milkという二つの主語を想定します。
今までの流れからいくと、どちらもareというbe動詞がつくと考えるのが普通です。
しかし、答えはSome milkについてはisになります。
それは、milkが数えられない名詞であるからです。
数えられない名詞は単数扱いという決まりがあります。
これについても、記憶しなければなりません。
・何度も読んで憶えるしかない
もしネイティブであればそれは単数だから、複数だから、といちいち言語化しなくても、幼い頃よりの日常で感覚的に単数や複数の区別ができ、もってbe動詞の選定を誤りません。
しかし、第二外国語として学ぶ場合、なかなか数えられる名詞と数えられない名詞の別を感覚的には掴みにくいです。
これは、やはり何度も読んでmilk water meat moneyは数えられない名詞の扱いだったな、と憶えるしかありません。
とはいえ、数えられない名詞として出題される種類はそう多くありません。
特によく出るのが、前述の4つです。
これを憶えておけば、公立入試の対策としては、完ぺきとはいえないものの、だいぶ安心感があります。
■動詞の変化
後は、動詞にsがつくかどうかでつまずく人も多いです。
これも先のbe動詞と原因は全く同じです。
主語がどんな場合に動詞にsがつくのか、またつけなければいけないのか、これを憶えていなければなりません。
主語が複数なのか、三人称なのかによって変わってきます。
主語が単数だったり、三人称の場合には、動詞にsがつきます。
これを文法用語で3単元のsと呼びます。
・難解な文法用語がつまずく要因に
文法の勉強は、えてしてこのような聞いただけでは意味不明な言葉がよく出てきます。
それこそ3単元のsに始まり、三人称単数、仮定法過去完了、形式主語のit、名詞節を導く従属接続詞のthat、分詞構文……などなど、聞いただけでは分からない文法特有の言い回しが多数です。
これが、英語って面倒だな、と思ってつまずいてしまう大きなポイントになっています。
ここでよく指導者は、難解な文法用語で生徒がつまずかないようにするために、上記のような文法用語を憶える必要はない、とハードルを下げます。
・文法を理解したときには文法用語も記憶している
確かに必要はないのですが、文法を理解すれば上記文法用語も自ずと憶えて説明できるようにある、というパラドックスが存在します。
つまり、結果論的にいえば結局、文法を理解したといえたときには文法用語もまた頭に残っています。
その意味において、冒頭のよく述べられる言説は撤回されて、文法用語は憶える必要がある、といえます。
話を3単元のsに戻します。
三人称単数のときにsがつく、と憶えておくのが良いです。
たとえば、
He makes cupcakes.
kenji makes cupramen.
さらに、ここでも前項の数えられない名詞の理解が試されます。
すなわち、数えられない名詞は単数扱いなので、動詞にsをつける必要があります。
といった具合です。
とにかく問題演習を繰り返して記憶する
このように、中学の英語は文法の基本を学ぶことになり、それがために憶えることが増えて、親しみのない外国語というストレスも相まってつまずく人が多いです。
ここでつまずいてストップしてしまうと、その後に積み上げることができず、志望校にいけません。
さらに大学入試の勉強の際には、当然に中学の基本があることが前提ですから、ここでも積み上げることができず、志望する大学にいけません。
ではどうしたら良いのかというと、とにかく文法を勉強したらその項目の問題を解いていくことです。
英語の参考書を開いてただ文法を漫然と読み込んで記憶していくのでは、ストレスの溜まり方が大きく、途中でやめてしまうリスクが高いです。
参考書ではなく問題集で演習を
たとえば、先のような例文をひたすら何度も読んで憶えるのではなくて、一度読んでなんとなく理解したら、記憶の新しいうちに同じ単元の問題演習に入ります。
問題演習を繰り返すことで、自然と当該文法事項も繰り返され、記憶の定着が促されます。
つまり、あまり憶えよう憶えようとして、参考書の絵面が頭に浮かぶほどに読み込むのではなく、とにかく演習をして感覚的に頭に刷り込ませるというのがつまずきにくいです。
問題を解きながら、分からなければ参考書を開いて確認しながら答えを導く、というのでもOKです。
とにかく演習を通して感覚的に文法を染み込ませて、文法用語や文法的な理屈付けは、後からで構わないということです。
学習フローを見直す
記憶→演習という流れではなくて、理解→演習→記憶という流れにすると、飽きにくくつまずきにくく、そして忘れにくい文法知識の習得が可能です。
演習本の収集方法
ここでよく問題になるのが、良い演習本がないということです。
中学の文法は基礎的なものなので、基本的には任意の例文の動詞部分が空白になっていて、そこに何が入るか、ということを考えられれば充分に勉強になります。
それこそ今勉強しているのが3単元のsならそれをググれば色々な問題や例文が出てきます。
これを活用すれば、問題が少なくて演習できない、ということは回避できます。
特に塾に通っていると、数多くの問題集が用意されていますから、問題演習に事欠きません。
今勉強している文法の単元について講師に言えば、適切な問題を用意してくれます。
動的な態度でいけばつまずかない
教育改革による双方向性の授業が重視されるとはいえ、中学英語はやはり地道な基礎知識の習得がキーになります。
ここをいかに能動的に乗り切れるかでつまずく子とそうでない子が分かれます。
ひたすらテキストを読み込んで憶えるという静的な勉強だとどうしてもつまらないと感じやすいので、ぜひ問題演習のなかで結果的に記憶できていた、という状態を作り出すようにするべきです。
中学のつまずきやすい教科「数学編」
中学において英語に並びつまずく人が多い教科に、数学があります。
未知数のxやyでつまずく子が多数
特に中学の数学で嫌悪感を持つ人がいるのが、xやyといった文字です。
単純に、
4+7は?と聞かれたら簡単なのに、
4x+7=0のとき、xの値は?などと聞かれると急に難しく感じ、つまずいてしまうというケースがあります。
特にxは、上記のような方程式の問題で出てきます。
ただしそればかりではなく、普通の数式としても出てくるので注意をしなければなりません。
2x/3+x/2という問題がそれに当たります。
このとき、方程式とごっちゃになっていると、2x/3+x/2に6をかけて、4x+3x=7xなどとしてしまいます。
これは方程式的な考え方になっているから起こるつまずきポイントです。
正解は、2/3+1/2という小学生のときの解き方と何ら変わらず導きます。
つまり、通分をすれば良いです。
4x/6+3x/6=7x/6が答えです。
解決策は習うより「慣れる」
単純な数式でも、xという文字が入ってくることで難しい印象になったり、方程式と混同して考えてしまって誤答する、ということがよくあります。
誤答によってより難しい印象になってしまう、という悪循環に陥ります。
大事なのは、やはり慣れです。
xという文字が出てきても、上記のような基本的な考え方さえ分かっていれば、後は適切に問題演習を繰り返すことで正解率が上がります。
正解できる問題が増えれば、自信につながり、xなどの未知数が出てくる問題に対して苦手意識がなくなります。
そこまでくれば、当然につまずく心配もまたなくなります。
誤答の際はちゃんと理解してから次へ
危険なのは、間違えたときに、なぜ間違えたのか分からない状態のまま次の問題に進んでしまうことです。
冒頭でお話しした通り、数学は積み重ねです。
一次方程式でつまずくと、次の連立や二次ではもっと分からなくなります。
関数など他の単元も同様です。
そこで、xが出てきて難しい印象を持ち、結果としても誤答したのなら、その問題についてどう解けば正解できたのか理解する必要があります。
解説すら難解でつまずくポイントに
さらに厄介なのは、解説を読んでも分からないというケースです。
解説自体にもxやらyやら文字が飛び交っていて難解に感じてしまう、という声がよくあります。
ここが数学の難しいところです。
分からない問題があって、じゃあ解説を読んですぐに理解すれば良い、ならつまずきやすいポイントにはなりません。
つまり、解説を読んでも分からず、苦手意識を持ったまま授業が進行してしまうからこそ、つまずいてしまう子が続出するわけです。
■解決策は学校や塾の先生に聞くこと
解決策としては、解説を読んで分からない、となった時点で早々に学校の先生や塾の講師に質問をすることです。
学校の先生に逐一質問をするのは、他の生徒やクラスの雰囲気との兼ね合いでしづらい、という子がいます。
そんなときは、塾を利用するのがおすすめです。
・個別指導の塾は気軽に質問できる
特に個別指導系の塾だと、クラスのたくさんの人の目があるなかで質問、とはならず、気兼ねなく分からない問題を聞けます。
講師のほうもつまずきやすいポイントについては熟知していますから、丁寧な解説が望めます。
それこそ、解説を読むだけでは分からなかった問題が、講師の解説で腹落ちします。
「そんな簡単なこと聞いてる」なんて言って笑う子はいないですし、良い塾ほどなんでも聞いて良い雰囲気づくりがなされています。
こういったところに通塾すれば、分からないものを分からないままにしてつまずきを大きくしてしまう事態を防げます。
つまずく前に講師の手を掴んで踏みとどまれる、そんなメリットが塾にはあります。
もちろん、学校や保護者など、他になんでもすぐに質問できる環境があれば良いですが、ない子の場合には、塾の存在がつまずき防止に大きな役割を果たします。
中学でつまずきやすいポイントについてまとめ
中学では、特に積み上げ型の教科である英語と数学でつまずく子が割合的に極めて多いです。
これらは、楽観視して放置していると、後々取り戻すことが非常に困難になりますから、早めの対処が重要です。
参考書を読んで静的に取り組んでいると、ストレスが溜まってつまずく危険性が高まります。
そこで演習を通しての理解、記憶に努めたり、分からないことがあったらすぐに学校の先生や塾の講師に質問したりなど、能動的な姿勢が必要です。
中学校に入って急に勉強が難しく感じ、テストで良い点数が取れなくなる生徒さんも少なくありません。
中間テストや期末テストで良い点を取れるように、つまづきやすいポイントを乗り越えましょう!
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。