奨学金 受給家庭の収入状況

【奨学金】受給家庭の収入状況|選ぶ種類や申請理由を紹介

高校までの学費は貯金でやりくりできても、大学となると費用が大きくなり、奨学金を利用しないと無理、という家庭が多くあります。

今回は、受給する家庭の収入データや選ばれる奨学金の種類、家庭事情について解説していきます。

奨学金の受給率

お金を手渡す
お金を手渡す奨学金の受給割合は、近年では減少傾向にあります。
しかし、減少といっても微々たるもので、約50%の大学生が奨学金を利用しています(※)。

具体的にみてみると、大学(昼間部)で平成24年度が52.5%、平成26年度が51.3%、平成28年度が48.9%です。

また、大学までは貯金などで大丈夫でも、子どもが大学院にいくのには足りない、ということで奨学金を希望する家庭も多いです。
学部よりも大学院で奨学金を利用する人の割合のほうが高いです。

大学院の奨学金受給割合も減少傾向にあり、これは学部に比べてより大きいです。

大学院(修士課程)で平成24年度が60.5%、平成26年度が55.4%、平成28年度が51.8%です。

※参考:日本学生支援機構 平成28年度学生生活調査結果(平成30年3月発表)

奨学金を希望する家庭の収入状況

奨学金を利用する家庭の特徴として、気にされる方が多いのが、どれくらいの収入があるのかです。
やはり収入が低い家庭が奨学金を利用しているのか、と考えがちです。

しかし、実際にはそうでもありません。
年収1000万円以上の家庭も前出の平成28年度学生生活調査結果(※)によると、かなりの割合で利用しています。

特に学生の出身地域(大学進学前の居住地域)、国立、私立の別で家庭収入に差がみられます。
では、以下で具体的な数字とともにみていきます。

年収階級別の割合

収入
収入基本的に、やはり首都圏出身の学生のほうが、家庭収入が大きい傾向にあります。
これは、物価の関係から当然だといえます。

たとえば、市役所の職員は、その地域の民間の平均年収となるように地域手当で調整されます。
地方の自治体よりも東京の港区職員のほうが、物価が高く、民間の平均年収もまた高いために、やはり手当てがついて年収が高くなります。

そのため、首都圏出身の学生のほうが、地方出身に比べて家庭の年収が高くなるのは、いわば当たり前ともいえます。

450万未満、450~650万、650~850万、850~1050万、1050万以上と、各階層に分けて家庭年収の割合が公表されています。

首都圏学生の家庭収入は1000万円超えが多い

これによると、首都圏出身の学生の場合、1050万以上の家庭が30.2%と最も高いです(国立大学に進学した場合)。
次点が850~1050万で22.5%です。

一方で、首都圏から私立に進学した場合は、1050万以上が25.7%です。
次点が850~1050万で18.9%です。

地方出身学生は450万以下が多い

その他の地域(京阪神を除く)でみてみると、国立進学の場合で650~850万が21.7%で最も多く、次点が450万未満で21.1%です。

私立進学の場合で450万未満が23.4%で最も多く、次点が650~850万で22.2%です。

上記の具体的割合で一目瞭然の通り、やはり首都圏出身の学生に比べて、地方出身の学生のほうが、奨学金を受給する家庭の収入が低いことが多いです。

国立学生の家庭収入は私立学生より高い傾向

キャンパス
キャンパスさらにあえて、国立進学者と私立進学者の家庭と分けて明記した意図としては、ここに顕著な特徴が出ているからです。

これもまた一目で分かるとおり、国立進学者の家庭のほうが私立進学者の家庭よりも高収入であることが多い、という事実です。

国立のほうが私立に比べて遥かに学費が安いために、国立に進学する子のいる家庭はそれほど収入が高くないのではないか、と考える人がいます。
まして奨学金を受給するのであれば、その主張が補強されます。

上記の割合でみると、首都圏出身にしろ地方出身にしろ、国立進学者のほうが私立進学者に比べて家庭収入が高いです。

特に首都圏の国立進学家庭が1050万以上30.2%という数字は、特筆すべきところです。

■国立進学者の家庭収入が高い理由

なぜこのような相関になるかというと、概して国立大学は私立大学に比べて受験難度が高いため、と考えられています。

高収入家庭はえてして親の学歴が高いため、子もまた良い頭を持っているから、と言う人がいます。
一理あるかもしれませんが、ここでは傍論として脇に置いておきます。

高収入家庭は、子どもの塾通いにかける経済的余裕があり、かつ、中学高校も私立に通わせられる蓄えもまたあるから、というのが多数派です。

■小学校から通じて塾に通わせられる資力

小学校の学習塾から高校の予備校までの出費は大きくなります。
低所得家庭ではなかなか通わせることが難しいです。

受験産業は今も昔も衰えず、各受験指導校はより多くの合格者を出して競合他社に勝とうとしています。
こういった場所に通わせられる資力を持った家庭の子どものほうが、私立より難しい国立に受かる確率が高いということです。

■有名私立中・高に通わせられる資力

さらに、一般に高校は地元公立の進学校よりも、全国的に有名な私立高校のほうが、やはり国立進学率は高いです。
たとえば、私立の開成高校(東京都)は2019年、東大の進学者が186名に達しています(※1)。

同じく東京都の公立高校偏差値№1として有名な国立高等学校をみてみます。
2019年の合格者数で東大が18名、早稲田大学119名となっています(※2)。

このように、有名私立と全国トップクラスの公立高校で比較しても、進学実績には大きな差があります。
そしてもちろん、両者は学費にも大きな違いがあります。

一般に、私立高校との公立高校の学費差は約2倍です。
具体的には私立が約300万円、公立が約150万円です。

特に例に出した開成高校のような全国でも有数の私立進学校の場合、中高一貫教育を実施しています。
6年体制で大学受験を見越して勉強することが、国立進学率の高さにもつながっています。

そしてもちろん、義務教育である中学についても私立に通わせれば、総じて学費は跳ね上がります。

上記のような現状がありますから、国立進学者のいる家庭は高収入であることが多く、それは大学において奨学金を受給していても変わりはないということです。

※参考1:開成高校 2019(平成31)年 大学入試結果

※参考2:国立高等学校 31年度大学合格状況

また、「浪人」した場合にも奨学金をもらうための申請方法など、以下の記事で詳しく紹介しています。


家庭の事情で大学進学をあきらめなければならない、と感じたとき、もしその事情が「お金のこと」であれば、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の…

受給家庭が選ぶ奨学金の種類

疑問と理解
疑問と理解奨学金を受給する家庭は、どのようなタイプの奨学金を受給することが多いでしょうか。
大学(昼間部)では、日本学生支援機構の奨学金が80.8%、その他の奨学金が10.5%となっています(併用を含む)。

先と同じように、450万未満、450~650万、650~850万、850~1050万、1050万以上といった家庭収入階級別に受給割合をみると、日本学生支援機構にしろその他の奨学金にしろ、収入が低くなるほど受給率が上がります。

特にその他の奨学金の場合は、450万未満の世帯の受給率が突出して高くなります。
国立の場合、450万未満が15%弱、次点が450~650万の家庭で約7%です。

私立の場合、450万未満が20%弱、次点が450~650万で10%強です。

低所得家庭は給付型奨学金を選択

上記の特徴の顕在化は、その他の奨学金では低所得世帯に向けた給付型奨学金が多いためだと推察されます。

実際に、450万未満の受給割合(国立)15%弱のうち、9.9%が給付型奨学金で貸与型は3.6%です。

450万未満の受給割合(私立)20%弱のうち、14%が給付型奨学金で貸与型は4.6%です。

このように、低所得家庭が奨学金を受給する場合、その多くが給付型です。
厳格な収入要件のもとで受けられる奨学金が増えてきています。

奨学金を受給する学生の家庭事情

兄弟姉妹も大学に進学

兄弟姉妹がいて、その子も大学に進学する場合には、奨学金を受けないと進学が厳しいという状況に陥ることがあります。

奨学金を受けるには、通常、申請理由を書かなくてはなりません。
理由が明確でないと、審査に落ちて奨学金を受けられないリスクがあります。

兄弟姉妹の進学が理由だとしたら、以下のようなものになります。

「私には妹がおり、彼女もまた大学進学を控えています。家庭の収入、自身の負担だけでは大学を出ることができません。仕送りは6万円で、一年間の学費は150万円です。経済的事情により退学とならないためにも、奨学金の受給を希望いたします」

住宅ローンが残っている

家庭の住宅ローンを経済的問題の理由に挙げるケースも多いです。
申請理由の例は以下になります。

「今年、父親の定年退職が決まっており、しかし住宅ローンが10年以上残っています。私の学費を捻出する家計の余裕はありません。アルバイトをして稼ぐにも限界があり、将来、国家公務員になるという目標があることから、勉強時間を確保したい思いがあります。そのために、奨学金を受けることが必要だと考えています」

奨学金受給家庭についてまとめ

今回は、奨学金を利用する家庭の収入状況などについて解説してきました。
奨学金を受給する家庭は、全体としてみると、確かに低所得になるほど割合が上がります。

しかし、首都圏出身の学生や国立進学者の場合、1000万以上の家庭収入があっても、受給をしている例が多いです。

特に兄弟姉妹がいて大学進学が続いたり、住宅ローンが長く残っていたりすると、潜在的な家計の問題があり、それを見越して奨学金を希望するケースが多く存在します。

シングルマザー(母子家庭)のための「教育資金のつくり方」については、以下の記事をご覧ください。

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