子供に「お金」を教える「マネー教育」のやり方

マネー教育のやり方
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金融庁は、「子供が日々の暮らしのなかで、お金の大切さを実感することが難しくなっている」と警鐘を鳴らしています(※)。

キャッシュレスや暗号通貨が日本で広がっていて、これらは「現金の重み」や「お金の感覚」を失わせることがあります。

子供がお金をお金として感じられないと、さまざまな支障が生じるでしょう。
お金は人生を豊かにする一方で、人生が狂わすことがあるからです。

お金を求めることは学習意欲や労働意欲を高める効果がある一方で、お金への欲が膨らみすぎることはよくないことです。

保護者は、そのようなリアルな「お金の話」を子供に伝えたいのではないでしょうか。

子供へのマネー教育を考えていきましょう。

※参考:https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/oyakodemanabu.html

現金の重みを感じられない時代

子供向けマネー教育について考える前に、お金やマネーに関する基礎知識を身につけておきましょう。

「現金の重み」や「お金の感覚」を感じさせなくしているのは、次の3つです。

  • キャッシュレス
  • 暗号通貨
  • じゃぶじゃぶなマネー

この3つの概要と問題点を解説します。

キャッシュレスとは、その課題とは

スマホ決済キャッシュとは現金のことです。
キャッシュレスとは、現金を使わない買い物方法のことです。

キャッシュレスでは、現金の代わりに「お金のやりとりがあったことを証明する電子データ」を使います。
キャッシュレスではカードを使いますが、このカードは電子データの書き換えや記録に使います。

キャッシュレスには、メルペイやペイペイやクレジットカードなどがあります。
北海道なら、セイコマートの「ペコママネー」もキャッシュレスのツールです。

キャッシュレスでは、買い物をするときに現金が登場しないだけで、お金は動いています。

例えば、キャッシュレスのカードで1,000円の買い物をすれば、翌月以降に貯金が1,000円減ります。

もしくは、クレジットカードで1,000円の買い物をすれば、翌月、クレジットカード会社に1,000円を支払うことになります。

キャッシュレスにおけるお金の動きは大きく2種類あります。

A:現金を先に預けておき、そこからキャッシュレスで使った分のお金が差し引かれていく

B:キャッシュレスで使った代金をあとで支払う

問題になるのはBです。
これは「キャッシュレス」というきれいな言葉で表されていますが、実態は「借金」です。

Aも、キャッシュレスの種類によっては、先に預けた現金以上の買い物ができてしまうことがあります。
その場合、実態はBになるので、やはり「借金」です。

しかも、AでもBでも、現金の受け渡しをしないので、お金を渡している実感が得られません。
お金を他人に渡した実感は、お金が減ったことを強く印象づけ、それが無駄遣いの防止や買い物の快感を生みます。

お金を渡している実感がないと、無駄遣いが増えるでしょう。
また、買い物の快感が少ないとストレスが発散できないので、さらに買い物をしたくなります。

暗号通貨とは、その課題とは

ビットコイン暗号通貨は仮想通貨と呼ばれることもあり、ビットコインが有名です。

暗号通貨では、現金すら動きません。
なぜなら暗号通貨には「円」も「ドル」も「紙幣」も「硬貨」もないからです。

暗号通貨で現金の代わりになるのは「データ」です。
暗号通貨で100円のアイスを買ったとします。
このときアイス店に支払うのは、「自分の100円分の暗号通貨が減った」というデータと「店に100円分の暗号通貨が足された」というデータだけです。

データのやりとりしかしないので、インターネットを使うことができます。
インターネットが使えるということは、全世界で使えるということです。
これが暗号通貨の最大のメリットです。

暗号通貨は、キャッシュレスより、「現金の重み」や「お金の感覚」を感じさせないでしょう。

しかし、暗号通貨が現金(円やドルなど)と無縁に存在できるかというと、そうではありません。
暗号通貨を使うには、現金で暗号通貨を買わなければなりません。
暗号通貨ばかり貯まって現金がなくなったときに、現金が必要になったら、暗号通貨を売って現金を手に入れなければなりません。

もし、暗号通貨を高く買って、暗号通貨を安く売ったら、現金としては損することになります。

暗号通貨は「現金の重み」や「お金の感覚」を失わせるだけでなく、リスクが高い金融商品でもあります。

じゃぶじゃぶなマネーとは、その課題とは

お札日本には今、お金があり余っています。
これを「じゃぶじゃぶな状態」と言います。

なぜ、お金がじゃぶじゃぶになっているかというと、日本銀行が「金融緩和」を拡大しているからです。

少し難しい話になりますが、興味がある方は、以下の記事を読んでみてください。

※参考1:日銀、大規模金融緩和策を維持へ 決定会合(日本経済新聞)

※参考2:日銀決定会合、大規模緩和を維持 内需底堅いと判断(日本経済新聞)

日本銀行は、お札(お金)を発行している機関です。
1万円札をよく見ると「日本銀行券 壱万円」と書いてあります。
つまりお金とは「日本銀行が発行している紙」にすぎません。

「壱万円と書かれているだけの紙」で、なぜ1万円分の買い物ができるのかというと、すべての日本人が「日本銀行が発行した壱万円と書かれているだけの紙には1万円分の価値がある」と認めているからです。

さて、金融緩和とは、日本銀行が世の中に出回るお金を増やす政策です。

そして、日本銀行は2020年現在、史上空前の金融緩和策を継続しています。
だから今の日本は、お金がじゃぶじゃぶの状態になっているのです。

しかし、お金がじゃぶじゃぶなのに「自分のお金や家族のお金は増えていない」と感じている人は少なくないでしょう。

ところが、お金が有り余っているのは事実です。
庶民のところにお金が回っていないとすれば、どこかにたくさんあるはずです。

お金のある場所のひとつが、企業の内部留保です。
内部留保とは、企業の手持ちのお金です。

財務省によると、2017年度の国内企業の内部留保の額は4464,800億円で、2016年より9.9%増え、史上最高額を更新しました(※)。

企業は、世の中に出回ったお金を獲得して、貯金しているわけです。

「人気ユーチューバーになると1年間で『億円単位』のお金を稼ぐ」と聞いたことはないでしょうか。
一部のユーチューブが大儲けしていることと、日本銀行の金融緩和は、無関係ではありません。

ユーチューバーが得るお金は、ユーチューブを運営している会社が支払っています。

ではユーチューブの会社はどこからお金を得ているのかというと、企業からです。
ユーチューブの会社は、企業の広告をユーチューブに掲載することで、企業から「広告費」という形でお金を得ています。
広告費の一部が、ユーチューバーに回っているわけです。 

人気ユーチューバーが数億円も稼ぐことができるのは、企業がそれだけ、ユーチューブの会社に広告費を支払っているからです。

企業がそれだけのお金を支払えるのは、内部留保がしっかりあるからです。
企業の内部留保は、日本銀行の金融緩和のお陰もあります。

このように、日本銀行の金融緩和策とお金持ちユーチューブがつながりました。

話がここまで進むと、次の疑問が湧くと思います。

  • お金じゃぶじゃぶで大丈夫なのか
  • 日本銀行が金融緩和策を続けて大丈夫なのか

大丈夫ではありません。

お金が世の中に出回りすぎると、企業の株価や不動産の価格が値上がりします。
これは、バブル経済を再び引き起こすリスクを高めます。

また日本銀行は、国債を459,813,200,000,000円(約460兆円、2020120日現在)も持っています。
これも金融緩和策のひとつです。

国債は日本政府の借金です。
つまり日本銀行は、日本政府に460兆円を貸しているわけです。
日本政府は、一定期間が過ぎたら、日本銀行に460兆円を、利子をつけて返さなければなりません(国債を償還しなければなりません)。

じゃぶじゃぶにお金があるうちは、楽しい生活や楽な生活を送ることができますが、その「ツケ」は必ず支払わされることになります。

なぜなら、じゃぶじゃぶのお金の正体は「借金」だからです。

つまり、じゃぶじゃぶなマネーは「健全なお金」ではないのです。

お金が「理由もなく」沢山あるとき、必ずどこかに「カラクリ」があります。
カラクリがあるお金は、いつか破綻します。

お金について考えるとき、必ず「なぜここにお金があるのか」と疑ってください。
意味不明の大金は、とても危険です。

※参考:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO34917930T00C18A9EE8000/

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マネー教育「お金の誘惑をどう伝えるか」

お金に目がくらむイメージ現代ほど、保護者が子供にマネー教育しなければならない時代はなかったでしょう。

お金の感覚が麻痺することは、子供の将来にとってよくないことです。

そして、お金には「悪い誘惑」があります。
保護者は、「子供には、お金の誘惑に打ち克つことができる大人になってほしい」と思っているはずです。

マネー教育を始めましょう。

お金は「ありがとう」との交換でやってくる

金融庁は子供に、お金の本質を次のように教えています。

お金は「ありがとう」との交換でやってくる

柔らかい印象を受けますが、とても含蓄のある文だと思います。

ここでいう「ありがとう」は、軽々しいあいさつではなく、お金と同じ価値を持つ感謝のことを指しています。

大人の世界では、簡単な仕事や簡単なサービスやつまらないモノをもらっても、お金と同じ価値を持つ、本当の感謝はもらえません。

卓越した仕事や、従来の何倍も便利になるサービスや、宝物にしたくなるようなモノをもらわないと、人はなかなか本当の感謝はしません。

本当の感謝とは「お金を支払いたい」と思い、実際お金を支払うことをいいます。

お金のリアルの世界では、「感謝の強さ」=「支払うお金の多さ」という関係になっています。

「労働」も一緒に考える

女子医学生お金と同じ価値を持つもののひとつに、労働があります。
労働は、サービスやモノを生み出します。
そして、労働、サービス、モノには、高品質なものとそうでないものがあります。

高品質な労働、サービス、モノには、高いお金が支払われます。

例えば、医者の給料が高いのはなぜでしょうか。
もう少しリアルに表現すると、なぜ医者は多くのお金を獲得することができるのでしょうか。

それは医者が、病気を治すという、普通の人ではできないサービスを提供するからです。

胃がんの治療では、胃にこびりついたがん細胞を、医師は電気メスを使って取り除きます。
胃がんを放置すれば、その患者は死亡してしまいます。
しかし、手術でがんを取れば、患者は普通に生活することができるようになるかもしれません。

それだけのことをしてくれれば、「100万円以上のお金を支払ってもよい」と考えるでしょう。
実際、胃がんの治療は、手術だけで55万円くらいします。
胃がんの手術は3時間くらいですので、病院は1時間あたり183,333円の「売上」になります。

手術以外にも検査や入院や薬が必要なので、100万円はゆうにかかります。

医者だけでなく、弁護士、裁判官、銀行員、証券会社社員、テレビ局社員、新聞記者、芸能人、政治家、漫画家、ユーチューバー、コンピュータエンジニアなどは、高い給料をもらっている人が多い職種といえます。

これらの職種は、質の高いサービスを提供していると考えられているからです。

また、ブランドのバッグや時計、高級外車や高級レストランの料理が高いのは、手に入れた人が喜ぶからです。
そのため、ブランドバッグや時計や高級外車や高級レストランの料理をつくったり売ったりしている人たちは、多くのお金を得ています。

お金のことを考えるとき、労働と一緒に考えましょう。
労働とは働くことです。

そして、お金と労働について考えるときは「自分の人生をどうしたいか」も一緒に考えましょう。

お金は、多すぎても少なすぎても不幸に近づいてしまいます。
しかし、多額のお金を持っている人でも、少ない額しか持っていない人でも、「自分は幸せだ」と胸を張っている人はいます。

幸せになるか不幸になるかは、お金だけでは決まりません。
お金と労働と人生観によって、人の幸・不幸は決まります。

例えば、小中高と猛勉強して、難関大学を卒業して、いい企業やいい役所に入って多額の給料を得ていれば、「自分がこれだけのお金をもらうことは当然のこと」と思うことができます。
それは「それだけの努力をしてきたし、今現在も、お金に見合う高度で難しい労働をしているからだ」と確信できるからです。

この人は幸せでしょう。

また、給料が安い地味な仕事をして、古いアパートに住み、旅行や豪華な食事をせず、高額な商品は買わず、図書館で借りる本を読むことを唯一の趣味にしているような人も「人生に満足している」と言うでしょう。

このように、労働と人生観と収入(お金)がマッチしていると、人生に迷いがなくなり、幸福感や満足感が得られやすくなります。

金融庁の指摘をもう一度紹介します。

お金は「ありがとう」との交換でやってくる

しっかり労働すれば、人から「ありがとう」と言われます。
そして、「ありがとう」と言われてから手渡されるお金を得ていれば、その額が多くても少なくても、間違いは起きないでしょう。

そして、人生観をしっかり持てば、自分に必要なお金の額がわかってきます。

お金が人生を豊かにする仕組み

思いやりなぜ、多くの人は、多くのお金を求めるのでしょうか。

優れたサービスや高品質のモノがお金を呼ぶように、お金は優れたサービスや高品質なモノを呼ぶからです。

多くの人が多くのお金を求めるのは、優れたサービスを受け、高品質なモノに囲まれて暮らしたいからです。

優れたサービスや高品質なモノは、人生を豊かにします。

例えば、高級レストランの料理はとてもおいしく、幸せな気持ちになります。
また、小さなテレビより、大画面のテレビのほうが、コンテンツをより深く楽しむことができます。
海外を旅行すれば人生観が変わるかもしれません。
素敵なバッグを買うと、近所を外出するだけでウキウキします。
狭くて古くて設備が壊れている家に住むより、大きくて新しくて最新設備が整っている家のほうが快適です。

しかし、高級レストランも大画面テレビも海外旅行も素敵なバッグも新しい大きな家も、多額のお金を必要とします。

お金がたくさんあるほうが、さまざまな貴重な体験をすることができます。

お金が人生を狂わす仕組み

ふさぎこむ女性お金は、人生を狂わせることもあります。
お金は、多すぎても、少なすぎても、人を不幸にすることがあります。

手元のお金が増えてくると、「もっとお金がほしい」という気持ちがわいてきます。
お金は、サービスやモノを買うツールでしかないのに、お金に惑わされてしまった人は、お金を多く持つことが目的になってしまいます。

例えば、1カ月の給料が20万円の人は「給料が月40万円だったら、どんなにいいか」と夢みます。
ところが、頑張って働いて月40万円を稼げるようになると「確かに給料は倍になったが、労働は5倍になった。もっと給料が上がってもいいはずだ」と思ってしまいます。

貯金残高が1億円あっても「もっと必要だ」と考える人もいます。

このように、「欲」が膨らみ、お金を追求し始めると際限がなくなります。

経済犯罪という犯罪があります。
経済犯罪は、違法な方法で多額のお金を得る行為です。
しかし、お金儲けの「合法か違法か」の区別は簡単ではありません。

例えば、企業の株を買って、それが高値になったときに売ってお金を儲けることは合法です。
しかし、外部に漏れてはいけない情報を手に入れて株の売買をしてお金を儲けると、違法になります。
外部に漏れてはいけない情報を手に入れるだけなら違法でない場合でも、その情報を使って株の売買をして儲けると罪に問われるのです。

普通の人は、合法的な株の売買しかしませんが、「欲」が膨らみお金を追求し始めた人は、つい一線を越えてしまいます。

そして、違法な株の売買をして逮捕される人は、多額の貯金や財産を持っていることが少なくないのです。

お金が少なすぎても不幸に陥ることがあります。

ワーキング・プア」という言葉があります。
これは一生懸命働いても(ワーキングしても)、貧困(プア)である状態のことです。

時給が低い仕事に就き、なんらかの事情で長時間働くことができず、しかも出費がかさんでしまう人は、貧しい生活をしたり、借金したりすることになります。

お金がないと、異性との出会いを求めて外出することも、彼氏・彼女とデートすることもできないので、結婚も遠のきます。
そうなると、子供をつくって家庭を持つこともできません。

「お金がない」または「お金が少ない」という理由で、結婚したり家庭を持ったりすることができない人がいます。

また、多額の借金を抱えると、返済請求や取り立てが厳しくなります。
それを苦に自殺を選ぶ人もいます。

これが、お金が少ないことが不幸を招くメカニズムです。

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まとめ~欲張らないこと

お金を多く獲得することは、悪いことではなく、よいことと評価されることもあります。
多くの人から感謝された結果、お金持ちになった人は、よい人でしょう。

保護者は子供に、「感謝される方法でお金を儲ける道」を教えてあげてください。
それには、欲張らないことがとても重要です。
お金に対する欲望は、少しは必要ですが、大きすぎると人生観も労働観も狂ってくるからです。

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この記事を監修した人

チーム個別指導塾
「大成会」代表
池端 祐次

2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。


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公開日:2020年3月1日 更新日:2024年2月28日
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