価格もこなれてきてスマートフォンを子どもに持たせる家庭も増えてきました。
その背景には格安SIMや中古端末の普及による低価格化が一役買っています。
保護者として気になる事は「周りの子どもは何歳になったらスマートフォンを持たせているのか?」についてです。
本記事では何歳から子どもにスマートフォンを与え、何に注意したら良いのかまでを掲載しています。
スマホデビューは中1が最多という結果に
平成29年に東京都は「家庭等における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用等に関する調査結果」を実施しました。
都内に住んでいる子どものスマートフォン利用実態を調査する目的で行われたものです。
東京都の調査では中1で30%、高1で20%となっている
調査によると所謂「スマホデビュー」の学年で最も多かったのが中学一年生の時で、全体に占める割合は29.6%でした。
続いて多かった解答が高校一年生の20.5%、小学校高学年の15.4と続きます。
小学校高学年と中学一年生の割合を合計すると全体の45%となり、子どもの約半数は小学校高学年から中学校入学にかけてスマートフォンを手にすることになっています。
この時期にスマートフォンを与えられなかった子どもの大半は高校入学時に与えられる事となります。
また、子どもにスマートフォンを持たせた理由としては「子どもといつでも連絡を取れるようにするため」という解答が最も高く87.3%、続いて「子どもがいる場所を把握する為」と答えた保護者の方は50.2%と主に安全意識の高まりから子どもへスマートフォンを与えるというケースが多いようです。
スマートフォンには連絡機能の他にGPS機能も内蔵されているため、子どもがスマートフォンを確認しなくても保護者のスマートフォンに子どもの位置情報が送信されるように設定することが可能です。
大阪府で発生した小6女児誘拐事件を皮切りに上記のような安全意識が一層高まっている事が推測されます。
保護者にとって子どもにスマートフォンを与える理由は安全の為であって、行動範囲の広がる高学年〜中学生にかけて与えているという背景があるのでしょう。
小学生にはキッズケータイというケースもある
一方で小中学年ではキッズケータイを与えるという家庭も存在します。
あまり馴染みの無い方の為に簡単に解説しましょう。
キッズケータイとは子ども向けの携帯端末として以前から発売されていました。
連絡は電話のみで、その電話を掛けられる相手もペアレンタル・コントロールによって制御されています。
つまり保護者が設定した相手以外の通話は出来ないということです。
また防犯ブザーが搭載されている機種が殆どで、有事の際は周りの大人などに危険を知らせるという機能も備わっています。
先程の東京都が行ったアンケート調査の結果を参照すると「あなたのお子さんは、下記の機器を利用していますか(筆者注:どの端末を利用していますかの意)」という質問に対して全体ではスマートフォンの割合が46.5%と大きな割合を占めるのに対して小学校低学年ではその割合が11.6%、携帯電話(ガラホ、PHS、キッズケータイも含む)と回答した家庭の割合は29%とこちらの方が高いシェアを誇っています。
なお残りの58%ほどは「持たせていない」という解答となっています。
そのため子どもに持たせる携帯端末としては、低〜中学年ではキッズケータイを使用。
その後高学年〜中学校へ進学する段階でスマートフォンにシフトする事が一般的であると言えます。
筆者の体感でも中1が最も多い気がする
私は塾講師として子どもと接する機会が多い者です。
そのため小中学生の子どもと日常的に会話をすることも多いのですが、多くの子どもが中学1年生を機にスマホデビューをしたという子が群を抜いて多いという印象を受けました。
子どもたちに「スマホで何をしているのか」という質問をよく行うのですが、以下のような解答がよく返ってきました。
- YouTubeを鑑賞する
- 友達とLINEでコミュニケーションを行う
- スマホゲームを楽しむ
保護者が子どもにスマートフォンを持たせる理由とは逆行するかのように、子ども達の間ではエンターテイメントを消費するためのスマホであるという認識が強いようです。
アンケート調査から見えてこないものとして、小学校中学年以下の子どもの実態についてですが、低学年や中学年の子どもがスマートフォンを所有しているケースは一定数見られます。
ただし同年代の子どもからは羨ましそうな目で見られており、まだまだ低学年や中学年の子どもにとってスマートフォンは珍しいものであるとの認識が強いようです。
スマホが持つリスクについて
続いてスマートフォンの持つ負の側面について紹介します。
子どもにとってスマートフォンとは夢のような機器であり、同時にパンドラの箱でもあります。
活用すれば良い効果が、悪用すれば社会的なリスクにも繋がります。
その例を以下に掲載いたします。
ゲーム課金
スマートフォンでプレイすることのできるゲームは従来のゲームとは違い、ストーリーを効率よく進めたり、より強力なアイテム・キャラクターを獲得するためには課金をしなくてはなりません。
スマートフォン向けのゲームは基本的には課金をしなくても楽しむことは出来ますが、子どもにとって強いキャラクターや珍しいアイテムを所有している事は一種のステータスです。
そのため保護者に断りを入れずに課金をしてしまうというトラブルが跡を絶ちません。
スマートフォンでは、その端末を制御するアカウントを作成する際にクレジットカード情報を求められる事があります。
その際に保護者のクレジットカードを登録することがあります。
子どもはそのアカウントのパスワードをあの手この手で探し出し、最終的には課金を続けるという事態となってしまう訳です。
LINEいじめ
一昔前に「LINEいじめ」や「既読無視」という言葉が話題となりましたが、LINEはいじめの温床である事も理解しなければなりません。
LINEは現実世界と比較すると閉鎖的な空間となるために、いじめを行いやすい環境となっています。
更にグループ機能という複数人が同じチャットに参加する事の出来る仕様があるために複数人でのいじめが助長されるという訳です。
内容は残酷なものが多く、誹謗中傷や猥褻画像の送受信。
中には金銭を要求する子どもも居るため、自身の子どもを守るためにはLINEの使用には十分に気をつける必要があります。
ネット犯罪
スマートフォンを利用したネット犯罪は跡を絶ちません。
2019年11月に大阪市で小6女児が誘拐されるという事件が発生しました。
事の発端はSNSで犯人は言葉巧みに女児を誘い出し誘拐したと報道されています。
昔からインターネットにまつわる犯罪は存在しますが、最近のネット犯罪は益々わかりにくくなっています。
TwitterやInstagramなどのSNSサービスを悪用した犯罪などが近年では目立っており、より閉鎖的なプラットフォームであるという特徴を悪用したものが多い印象です。
子どものスマホはココに気をつけろ!
晴れて子どもにスマホデビューをさせる際に指導したいポイントを以下に纏めています。
上記のリスクとともに伝えるようにしましょう。
SNSのリスクを理解させる
SNSには先ほど紹介したネット犯罪リスク以外にも様々な危険を孕んでいます。
例えば炎上と呼ばれるもの。
TwitterやInstagramに悪ふざけや犯罪行為など不適切なものを投稿することで、その情報が拡散され、多くの非難を集めるという流れで発生します。
インターネットでは第三者が炎上した人物の個人情報を解析し公開するという悪しき習慣が残っており、中には娘のネット炎上の影響で自営業のお店を畳んだという例も残っています。
子どもは勿論、家族全員の安全を守るためにもSNS利用は慎重に行うように指導しましょう。
スマホ依存症
近年スマホ依存症は疾患であるとの見解が強まっています。
一日の大部分をスマートフォンに費やすなどして、睡眠不足や体の不調(特に首や肩周りに多い)を訴えるものです。
スマートフォンは子どもにとって夢のような機器であり、利用することで友人とのコミュニケーションやエンタメ消費、また情報発信も行えるなど様々な事が出来ます。
スマホ依存症の背景にはエンタメ消費のような以前テレビっ子と謳われていたものと、SNSの台頭による認証欲求の発生が謳われています。
これらに関してはスマートフォンをもたせる以上、避けては通れない道です。
そのため禁止するよりは予防的な指導を行う方が良いでしょう。
具体的にはSNSの考え方についてや(認証欲求を満たすツールでは無いことを理解させる)や実生活を重視する事などを話し合って、子ども本人にとってスマートフォンはどのようなものなのかについて認識を揃えておきましょう。
課金を予防する
子どもにiPhoneを与える保護者の方も居られるかと思われます。
iPhoneを利用するためにはApple IDというアカウントを作成しなくてはならず、そのApple IDの作成にはクレジットカード番号の紐付けが必要となります。
このApple IDはアプリのダウンロードやコンテンツの購入時に必要となり、パスワードを入力することでそれらの購入が可能になるという物です。
そのため、子どもには決してパスワードを教えないようにしましょう。
もしアプリのダウンロードが必要となった際は保護者の方が操作をしてダウンロードしましょう。
その際にSNS系のアプリをダウンロードしようとしていた場合に適切な指導が行えると尚良です。
課金をしようとしている場合はよく内容を確認し、承諾するか断るかを選択すると良いでしょう。
さいごに
子どもの安全の為にスマートフォンを持たせる家庭は増えてきましたが、その時期は家庭によって差があります。
最も多い時期は高学年〜中学入学の間となっており、これは行動範囲の広がる時期を考慮したものだと考えられます。
子どもの現在地を把握したり連絡を取ったりと便利なスマートフォンですが、利用に際しては上記のようなリスクも抱えているためよく注意して使用する必要があります。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。