上智大学(じょうちだいがく)といえば、ミッション系の大学として有名です。
青山学院や立教、明治学院などのように、キリスト教系の大学について、お洒落なイメージを持っている人が多いです。
上智はギリシャ語に由来するソフィアと呼ばれることもよくあります。
そして卒業生はソフィアンと呼ばれます。
新入社員が新歓などで同期が同じ上智出身だと分かると、あなたもソフィアンなんですね!などという会話が聞かれることがあります。
今回は、予備校では早慶上智という名で表し、私大トップの一角を形成するソフィアの学部について、解説していきます。
神学部
どこの大学にも大抵、看板学部があります。
中央の法学部や日大の芸術学部しかりです。
そして上智大学の看板学部は、この神学部です(※)。
神学部は看板ですが、募集人員が少ないのが特徴です。
後述する文学部は376名なのに対して、神学部は24名です。
倍率が高い
志願者118名に対して合格者17名、倍率は6.8倍です。
通常、大学入試では募集人員の3倍以上は合格者を出します。
他の大学に受かった方などが辞退したときに、入学者が定員割れを起こさないようにするためです。
この点、神学部は募集人員の3倍どころか、定員より少ない合格者しか出していません。
他の学部では一般的な比率で合格者を出しますから、この厳格度が大きな特徴といえます。
倍率の点でいうと、上智は4倍~5倍が一般的です。
7倍近いのは、同大学内では抜けています。
国内唯一のカトリック系神学部
日本で1つしかないカトリック系の神学部です。
特に上智は文科省からスーパーグローバル大学に指定されています。
その助成のもと、世界中のカトリック大学と連携しながら、国際的な学びが提供されています。
1~2年次は、聖書やキリスト教の歴史など基礎的なことを学びます。
3年次から、神学系キリスト教倫理系キリスト教文化系の3つの分野から選択し、より専門的な学習を開始します。
※参考:上智大学 神学部
文学部
上智大学の学部のなかで、最も人気があるといっても過言ではないのが、この文学部です。
特に女性から人気の印象です。
青学の英文に行きたいという女子も多いですが、やはり上智の文学部に入りたいという声もよく聞かれます。
7つの学科
文学部は学科が多く設置されています。
哲学科・史学科・国文学科・英文学科・ドイツ文学科・フランス文学科・新聞学科の7つです(※)。
他に保健体育研究室も置かれていて、ここでは必修科目である「ウェルネスと身体」に関する学びを行っています。
一人ひとりと向き合う丁寧な教育
募集人員は376名で、志願者数4755名、合格者は1132名です。
倍率4.1倍。
このように毎年、多くの学生が合格し、メインの四谷キャンパスには2000人を超える文学部生が通っています。
これだけ多くの学生を抱えながらも、一人ひとりの学生と向き合う少人数教育の実践に力を入れています。
もちろん、上智の特色である国際性に溢れた専門科目も多く置かれています。
※参考:上智大学 文学部
総合人間科学部
総合人間科学部も、学科が多いです。
「教育学科」「心理学科」「社会学科」「社会福祉学科」「看護学科」の5つが設置されています(※)。
学校の教師になれる
人間~、という名前が付く学部は、えてして教育を学び、教職を志す人が多い印象があります。
たとえば、國學院大學の人間開発学部もまた教職に就きたい人が多く通っています。
教育学科では、所定の科目を履修することにより、社会教育主事の資格が取れます。
さらに教職課程の単位を取得すれば、中学、高校の教職免許が得られます。
教師以外の選択肢も
もちろん、教師になるばかりが選択肢ではありません。
教育学部は、各学科の共通理念として、人間と人間で構成される社会を広く研究していくことが掲げられています。
幅広く人間支援のできる人材を輩出することが目標とされています。
2011年より看護学科が加わり、医療現場での社会貢献も積極的に見据えるようになっています。
志願者数は3530名、募集人員は217名、実際の合格者は593名です。
倍率は5.8倍。
※参考:上智大学 総合人間科学部
法学部
上智大学の法学部は3つの学科に分かれているのが特徴です。
まずは、どこの大学でもある代表的な法律学科です。
他に国際関係法学科と地球環境法学科が置かれていて、これが上智の魅力を体現しています(※)。
国際関係法学科では、その名の通り、特に国際性を重視した講義が行われます。
外国語を始めとして、国際政治や国際法について学びます。
地球環境法学科は、あまり聞いたことがない名前です。
法的思考と実際の環境問題を絡める画期的な授業が展開されています。
募集人数は245名、志願者数は4248名、合格者数は830名です。倍率は5倍です。
以上の3つの学科の壁は、ほぼないと言って良いです。
というのも、どの学科の講義も自由に受けられるからです。
ロースクールの教授が学部の講義を受け持つこともあり、より先進的で高度な学習もできます。
※参考:上智大学 法学部
経済学部
経済学科と経営学科に分かれています(※1)。
こちらも学科の壁は緩く、相互に自由な履修が可能です。
市場経済の発展に寄与する人材を生み出すべく、経済・経営の専門的かつ高度な授業が展開されます。
グローバルな視点による教育
上智の特色として、やはり外国語を重視したグローバルな講義が挙げられます。
経済学・経営学ともに英語特修プログラム設置されていて、英語で経済や経営の授業が行われます。
国際的に活躍できる人材の育成に力が入れられています。
早期卒業制度と早期修了制度
特筆すべきは、早期卒業制度です。
成績優秀な生徒に限り、3年間で卒業できます。
1年早く社会へスタートを切れるのは、大きなアドバンテージです。
3年で卒業している人は極めてレアですから、履歴書を見たときに採用者に良い意味でインパクトを与えられます。
さらに、上智では大学院の経済学研究科でも早期修了制度(1年で修士号を取得できる)を設けています。
これと組み合わせれば、大学入学から4年で修士の学位を取得できます。
4年で修士号取得はメリットが大きい
近年では、社会人になってから、国内外の大学院へ2年通いMBA(経営学修士)の学位を取得される方がよくいます。
企業より援助を受けられるケースもありますが、だとしても逸失利益などの点で金銭的リスクはありますし、時間的コストもまたかかります。
4年で修士号まで得られるのは、非常にメリットです。
経済学部の募集人員は260、志願者数5781、合格者数1008です。
倍率は5.6。
進路
卒業後の進路は、ほとんどが民間に就職します(※2)。
最も多いのが、金融で32.1%。
次点が製造業で19.8%です。
就職先トップ3はやはり金融系で、みずほフィナンシャルグループ 37名、三菱東京UFJ銀行 31名、三井住友銀行 22名です。
※参考1:上智大学 経済学部
※参考2:進路
外国語学部
英語学科・ドイツ語学科・フランス語学科・イスパニア語学科・ロシア語学科・ポルトガル語学科と6つの学科に分かれています(※1)。
2年生の秋学期末に研究コースを選択します。
コースは9つあります。
より専門的な分野について深い知識の習得を目指します。
コースは主に地域別の研究で分けられています。
たとえば、ラテンアメリカ研究、北米研究、ヨーロッパ研究、アジア研究などがあります。
語学だけではなく、地域研究を通して、言葉の運用と知の多角化を図っています。
進路は多岐にわたっています。
民間就職や公務員、中高の教職、大学院に進むものなど様々です(※2)。
学部で習得した外国語能力を生かして、途上国で国際貢献に寄与する人もいます。
募集人員は319、志願者数4244、合格者数1047です。倍率は4.5。
※参考1:上智大学 外国語学部
総合グローバル学部
1学部1学科で構成されています。
総合グローバル学科では、グローバルとローカルを融合させた学びが提供されています(※1)。
国際性だけではなく、地域研究にも目を向けることで、世界を立体的に捉えることを目標としています。
あえて学科を1つに絞ることで、個人のニーズに応じて多様なジャンルから履修を進められます。
2020年度の秋学期から、授業の全てを英語で行い、学位取得が可能な「Sophia Program for Sustainable Futures」が開設予定です。
90%以上の学生が就職します。
民間では、21.6%が製造系、情報通信系が18.4%です。
特定の企業に何人も就職するのではなく、様々な企業に分散しているのが特徴です(※2)。
サントリーや味の素、キャノン、トヨタ、楽天などの就職者がいます。
募集人数は140名で志願者数は2192名、合格者数は485名です。
倍率は4.5。
※参考1:総合グローバル学部
※参考2:進路
国際教養学部
英語を基礎としてグローバルな視点で科目を学び、国際的に活躍できる人材を育むことを目標としています(※1)。
1年生では基礎教育が実施されます。
2年の後期から3つの専門領域が与えられ、1つを選びます。
比較文科と国際経営、経済学・社会科学です。
他に英作文の講義やパブリックスピーキングを実践する授業も置かれています。
こちらも一学部一学科で、国際教養学科のみです。
国際教養学部は一般入試を行っていません。
そのため、合格者数や倍率などのデータはありません。
卒業生173名中123名が就職をしています(※2)。
就職先では、卸・小売が18.7%、調査・専門サービスが17.9%、情報・通信が16.3%です。
丸紅、ニトリ、税理士法人、博報堂、NTT、KDDIなどの就職者がいます。
※参考1:上智大学 国際教養学部
※参考2:2015年度 卒業・修了者進路状況報告書
理工学部
複合知の獲得を目指しています。
「理工融合型」の授業を展開し、さらに文系と同じキャンパスであることを利用して、「文理融合型」の講義も取り入れています。
幅広い分野、視点からの学習が可能となり、変革を続ける社会に柔軟に対応できる人物を育成します。
学生と教員が1対1で面談し、綿密な進路指導を行っています。
履修登録から専門分野の選択いたるまで学生は丁寧なアドバイスを受けられます。
理工学部は募集人員が210、志願者数が3909、合格者数が944です。
倍率は4.0倍。
物質生命理工学科、機能創造理工学科、情報理工学科と3つの学科が用意されています。
物質生命理工学科の就職先は、情報・通信32.9%製造 25.6%金融10.4%が多いです(※1)。
日立システムズ、コニカミノルタ、三菱UFJ銀行、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどです。
2018年度は卒業生381名中206名が就職、165名が進学しています。
※参考1:卒業後の進路
機能創造理工学科では、卒業生171名中108名が進学、54名が就職です(※2)。
こちらではちょうど就職者の倍の学生が進学しています。
※参考2:卒業後の進路
情報理工学科では、やはり情報通信系の企業への就職が多いです(※3)。
ドコモやKDDI、日立などです。
※参考3:2015年度 卒業・修了者進路状況報告書
上智大学の学部についてまとめ
今回は、上智大学の多彩な学部についてみてきました。
どの学部も特色があり、国際的な視点の設定と少人数制のきめ細かな対応を実践しています。
どの学部の、さらにどの学科に入るかによって、周りの学生の雰囲気から、将来の選びやすい進路まで変わってきます。
ぜひ今回の記事を参考に、慎重な姿勢でどの学部や学科にするかを選択しましょう。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。