付属校選びは計算高く!

附属校を選ぶときは「計算高く」なろう【北海道編】

子供の教育方針を決めるときに「計算高くなったほうがよいでしょう」とアドバイスするのは、本来はよくないことですが、私立大学の附属高校(以下、附属校)選びについては、そのように助言するしかありません。

附属校に子供を入れるメリットは、大学入学が約束されていることです。
保護者はそのために附属校の高い授業料を負担しようとしているのだと思います。

ところが附属校のそのメリットに「異変」が起きています。

最悪、附属校を卒業したのに、その大学に入れないことも起こり得ます。

保護者が「しっかり計算」しないと、思いがけぬ負担が子供にかかってしまうでしょう。

附属校と、系列校とは?

附属校のメリット・デメリットを考える前に、附属校の定義について確認しておきましょう。

付随校の定義「エスカレーター式」

附属校とは、大学を持つ学校法人が経営する高校のことです。

中学を持っている場合、それも附属校ですが、この記事では附属校といえば高校としておきます。

学校法人が大学と附属校の両方を持つのは、子供たちの大学受験の負担を軽減させて、本来の学びを提供するためです。

かつて大学受験は「受験戦争」という過激な言葉が使われていたほど、激化していました。
高校での勉強は、普通の勉強と受験勉強に完全に分離して、一部の子供や一部の大人は、「普通の勉強はやっても損をするだけ、受験勉強に専念したほうが得」と考えるようになりました。
そのせいで、一部の進学高校は、受験テクニックだけを教える予備校のようになってしまいました。

しかしそれは本来の高校の姿ではありません。
そこで大学を持つ学校法人が附属校をつくり、その生徒たちを、入試を免除して大学に入れるようにしたのです。
もちろんこの仕組みは、法律的になんら問題はありません。

こうすれば附属校の教師たちは、受験に振り回されることなく、理想の高校教育を実行できます。

付随校は「エスカレーター式」

エスカレーター附属校からの大学入学は、「立っていればそのまま上に行くことができる」という意味で「エスカレーター式」と呼ばれることもあります。

附属校と似た高校に系列校があります。
系列校にも大学名が付けられていますが、経営母体が異なります。

附属校は、大学を経営している学校法人が経営しています。

系列校は、別の学校法人が経営していて、大学を経営している法人の系列になることで校名に大学名を入れることが許されています。

例えば早稲田大学は、学校法人早稲田大学が経営しています。

そして学校法人早稲田大学は、早稲田大学高等学院と早稲田大学本庄高等学院という2つの附属校を持っています。

この2校以外に、校名に「早稲田」と付く高校は全国に6校ありますが、それらは別法人が経営する系列校(早稲田大は系属高と呼んでいます)です。

高校野球で有名な早稲田実業学校も系列校です。

計算高い話

さて、ここから「計算高い」話になります。

附属校と系列校は、表向きは同格であり差はありません。

附属校からも系列校からも、原則、上の大学に入試なしで入ることができます。

比較のイメージただ実際は、附属校のほうが優遇されることがあります。

大学には、その大学を代表するいわゆる看板学部がある一方で、それほど偏差値が高くない不人気な学部があります。

附属校の生徒は看板学部に入れるのに、系列校の生徒は入りにくいという実態が報告されています。

保護者は学校説明会で積極的に質問するなどして、実態を探ってください。

「もし東大に入れるようになったら」と考える

北海道内にも附属校があります。
入試を受けさせずに大学に通わせたいと思っている保護者は、我が子を附属校に入れたいと思うでしょう。

しかしその親心が「あだ」になってしまうかもしれません。
ここでもしっかり「計算」してください。 

腕を組む女性もし自分の子供が附属校に入り、成績が上がってしまったらどうしたらよいでしょうか。

「上がってしまったら」という表現は適切でないかもしれませんが、ニュアンスとしてはそう感じるでしょう。

つまり、附属校の上の大学の一般入試を受けても余裕で合格してしまうくらい成績が上がってしまったら、高額な授業料を支払って附属校に通わせた意味があったでしょうか。

問題はまだあります。

もし附属校の子供の成績が、尋常でないくらい上がってしまったらいかがでしょうか。
北大どころか、東大、京大、一橋大、東京工業大、早慶上智に入ることができるくらい偏差値が上がってしまったら、附属校の上の大学に進学させるでしょうか。

恐らく保護者としても、「東大を目指しなさい」とアドバイスしたくなるでしょう。

そうなると、附属校に入れた意味がますます薄れます。
附属校に入れたのは子供に受験を回避させるためだったのに、東大、京大、一橋大、東京工業大、早慶上智に入るには、受験戦争に参加しなければなりません。

公立進学高のほうが有利?

超高偏差値大の入試を受けさせるのであれば、札幌南、札幌北、札幌西、札幌東、札幌旭丘、釧路湖陵、旭川東、帯広柏葉といった公立進学高のほうがよかった、と思わないでしょうか。

これらの公立進学高は、超高偏差値大の入試を攻略するノウハウをたくさん有しているうえに、公立なので授業料も「格安」です。

もちろん、附属校の教育が優れていたから超高偏差値大を受験できるまで学力が上がった、と考えることもできます。

だからこそ、保護者の「計算」が必要なのです。
我が子の性質や学力を考えたうえで、附属校と公立進学校の教育内容を調べ、ベストの道を「算出」しましょう。

附属校だから「絶対に上の大学に行ける」わけではない

我が子を附属校に入れようとしている保護者が最もしっかり「計算」しなければならないのは、本当に上の大学に行けるのか、です。

先ほど「エスカレーター式」を紹介しましたが、それが望めないかもしれないのです。

附属校のなかには、上の大学に行くのに「苦労」するところもあります。

柱に立つ人それは大学側が、学力が高い生徒を求めているからです。
附属校の生徒のなかには、附属校に入学した途端に「これで大学進学は約束された」と油断して勉強をやめてしまう子供もいます。
そのような生徒の学力が上がるはずがありません。

上の大学も可能な限り附属校の生徒を引き受けたいと考えますが、しかし「さすがにこの生徒の入学を許可するわけにはいかない」ということも起こっています。

それで附属校でも、生徒に厳しく勉強をさせるようになっています。

附属校どうしの競争が激化している

今、附属校が増えています。
それで複数の附属校の間で競争が起きています。

東京の日出学園中学校・高校という学校は、2019年に目黒日本大学中学校・高校と校名を変えました。
日大の系列校になったのです。

また、横浜山手女子高は中央大学附属横浜高校に、横浜英和女学院高校は青山学院横浜英和高校になりました。
それぞれ附属化、系列化しました。

大学は、一定数は一般入試で学生を入れなければなりません。
そうなると複数の附属校の生徒たちは、限られた附属校枠を争うことになります。

これでは大学受験の競争とあまり変わりありません。

大学受験を回避させたいと思って附属校を選んでも、そこで大学受験並みのカリキュラムが課されていては、子供をストレスから遠ざけることはできません。

保護者は、附属校の競争という視点でも「計算」していかなければなりません。

道内の附属校の進路状況

続いて、北海道内の主な附属校の進路状況をみていきましょう。

駒澤大学附属苫小牧高校

推薦書駒澤大学附属苫小牧高校は、附属推薦入学制度を導入しています。
「上の大学」である駒澤大への進学を希望する生徒は、入学前準備教育の受講が義務付けられています。
この講義の目的は、大学で必要とされる学力を身につけさせることです。

この仕組みからは「エスカレーター式に安易に上の大学に進めるわけではない」というメッセージを読み取れるのではないでしょうか。

さらに駒澤大学附属苫小牧高校は、他大学への入学を支援するカリキュラムも用意しています。

A特進」コースは、国公立大の受験に向けて、少人数制で指導しています。
ここでは1年生から8時限もあります。
例えばA特進の1年生の月曜日は次のようになっています。 

1限目:世界史A

2限目:音楽

3限目:政治・経済

4限目:国語総合

5限目:コミュニケーション英語

6限目:社会と情報

7限目:数学

8限目:英語表現

他のコースは167時限しかないので、A特進はかなりの詰め込み式といえるでしょう。
駒澤大学附属苫小牧高校は「本気で」自校の生徒たちを国公立大に入れようとしています。

立命館慶祥高校

立命館慶祥高校は公式ホームページで「本校は立命館の附属校として、立命館大学と立命館アジア太平洋大学に希望者全員が進学できる学内推薦枠を持っている」と断言しています(※)。

※参考:http://www.spc.ritsumei.ac.jp/course/hs_inter_edu.html

この文面を読んだ保護者のなかには、「立命館慶祥高校の生徒は全員、立命館大に行ける」と理解した人がいるかもしれませんが、それは正しくはないでしょう。

確かに2017年度は、立命館慶祥高校から立命館大に117人が入っています(※)。

※参考:http://www.spc.ritsumei.ac.jp/course/hs_inter_edu.html

しかし「希望者」と「学内推薦枠」の2つのワードに注目してください。
生徒本人の希望だけでなく、立命館慶祥高校の推薦がなければ、立命館大に進めないというわけです。

そして、立命館アジア太平洋大にも注意してください。
この大学は立命館大ではありません。
立命館大といえば「京都の私大の雄」というイメージがあると思いますが、立命館アジア太平洋大は大分県別府市にあります。

2017年度は立命館慶祥高校から20人が立命館アジア太平洋大に進学しています。

自分の子供を札幌から京都に送ろうと思って立命館慶祥高校に入れたのに、大分県に行くことになったら、いかがでしょうか。
もちろん別府市は魅力的な街ですが、「大学の格」を考えると複雑な気持ちになるのではないでしょうか。

立命館慶祥高校も他大学への入学をサポートしています。

ただ保護者は、ここでも注意が必要です。

2019年度の合格実績では、東北大、慶応大、早稲田大、上智大、東京理科大、青山学院大、明治大、中央大といった高偏差値大・有名大が並ぶ一方で、北海道医療大、北海道科学大、天使大、酪農学園大といった道内私大も少なくありません。

まとめ~正しい計算をするには情報収集が必要

附属校に子供を入れたいと考えている保護者に「計算してください」とアドバイスするのは、私立学校が「厳しい計算」をしているからです。

私立学校はどこも厳しい経営を迫られていて、優秀な子供を集めるために必死になっています。
ところが学校のパンフレットには、バラ色の将来しか描かれていません。

そこで保護者は、本物の情報を集めて、自分の子供に相応しい進路を検討しなければならないわけです。

我が子を守るために「計算高く」なりましょう。

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