「夏を制する者が大学受験を制する」
大学入試に挑む受験生は、今一度この言葉の意味を考えてみてください。
この言葉は「夏の勉強を怠った者は受験で負ける」と読み取ることができます。
もしくは「夏にこそ偏差値を急上昇させるチャンス」と理解することもできます。
高校3年生と浪人生は、予備校の夏期講習の受講を真剣に検討しましょう。
合格を請負っている予備校は、夏期講習に受験ノウハウのすべてを投入しています。
夏期講習を受けて上昇気流をつかんでください。
今回のコラムでは、実在する予備校を調査していますが、A予備校・B予備校・C予備校…といった形で、名称は伏せてご紹介させて頂きます。
夏期講習は2段ロケットの一発目
夏期講習は2段ロケットの一発目に例えることができます。
2段ロケットは、1段目のロケットである程度の高さまで上がり、そこで1段目を切り離し、2段目のロケットで目的地まで進みます。
1段目のロケットには、ロケット本体を地上から空中に浮かせ、進むべき方向に向かわせるという重要な役割があります。
もし1段目のロケットが不発に終われば、2段目のロケットがどれだけ高性能であっても出番はありません。
また、1段目のロケットが噴射しても、方向を間違えれば目的地から遠ざかるだけです。
大学受験の1年間では、4、5、6月でモチベーションを高めたり基礎を固めたりします。
ロケットの打ち上げで例えれば、地上での準備です。
そして7、8月の夏期講習でグンっと偏差値を上げ、模試で最低でも志望大学C判定、できればB判定を獲得します。
そしてもしA判定を取れたら、この段階なら志望大学のランクを1~2つ上げることもできます。
北海道であれば、小樽商大を目指している人が夏期講習後にA判定を取ることができたら、志望大学を北大に切り替えてもいいでしょう。
MARCH(明治、青山、立教、中央、法政)志望の人なら、早慶上智にしましょう。
そして秋に、夏期講習で強化した得意科目を伸ばし、夏期講習でみつかった弱点科目を補強して、11月、12月、1月でラストスパート(2段目のロケット)をかけます。
したがってもし夏休み中の学習に失敗し、直後の模試でD、E判定しか取れなかったら、志望大学のレベルを落とさなければなりません。
これが、夏期講習に力を入れる意義です。
それでは具体的に、予備校ではどのような夏期講習を行っているのか紹介します。
A予備校の夏期講習の概要
全国チェーンのA予備校の札幌校では、高1、2、3年生と高卒者(浪人生)を対象にした夏期講習を行っています。
コースは、大学別入試対策、センター試験対策、分野別入試対策、レベル別入試対策の4種類を用意しています。
春に基礎づくりに失敗した人は、センター試験対策か、レベル別入試対策の基礎コースを選びましょう。
「夏は天王山」ですが、それでも基本ができていないうちから応用に入るのは無謀です。
ライバルたちは夏期講習で大学別入試対策に入っている可能性もありますが、「秋以降、二度と基礎問題はやらない」という強い気持ちで基礎固めをすれば、秋~冬で十分挽回できます。
基礎はもう完成している人は、大学別入試対策コースを選んでもいいでしょう。
また、強みを強化したり弱みを補強したりする分野別入試対策も検討してください。
A予備校は講義だけでなくアフターフォローも充実しています。
講師以外に学習アドバイザーや先輩チューターがいて、気軽に相談できます。
A予備校札幌校の2019年の夏期講習は7月15日に開校し、8月23日が最終日です。
1週5日間で6週間(計30日)あります。
授業は、講師が教壇に立つ対面授業と、パソコン画面をみながら学ぶ映像授業があります。
費用・料金は、入会金不要、テキスト代込み、消費税込みで、1講座(90分×5回)17,000円です。
B予備校の夏期講習の概要
B予備校札幌校の夏期講習も、いくつかのコースがあります。
高3生と高卒者は、分野・レベル別講座、センター対策講座、大学・学部・系統対策講座から自由に選ぶことができます。
レベル別講座は、9段階のレベルを用意しています。
これだけあれば、強みを伸ばすことも弱みを潰すことも、受験生の意のままです。
センター対策講座では私大対応も行います。
またマークシート式(選択式)独特の攻略法も学ぶことができます。
大学・学部・系統対策講座では、志望大学・学部の出題傾向をつかむことができます。
応用力も身につくでしょう。
B予備校の特徴は授業の時間が50分と短いことです。
B予備校では50分が「集中力が持続する最適な時間」と説明しています。
1講座は50分×12回となっています。
そして受講生の負担を減らそうと、全席座席指定にしています。
座席指定をしないと席取りのために早朝から並んだりする受講生が現れるからです。
さらに公平を期すために、1講座中に1回、席替えをします。
B予備校ではテキストに定評があります。
同じ教科でも、コースごとにテキストの内容を変える力の入れようです。
B予備校のOB・OGには「B予備校のテキストがほしくて夏期講習を受講した」という人もいるそうです。
B予備校も受講生からの相談には力を入れています。
夏期講習の受講生は、この相談の機会を有効活用しましょう。
高校の先生とはまったく異なるアドバイスをしてくれるはずです。
相談内容は「なんでも」かまいません。
- 英単語が覚えられない
- 理系志望から文系志望に変えたい
- 法学部か経済学部かで悩んでいる
- 東京の大学に進学したいが、親が道内大学をすすめている
- 家で勉強できない、どうしたら集中できるのか
予備校の進路相談担当者は、貪欲に「大学に合格すること」と「1つでもランクが上の大学に合格すること」の2点にこだわっているので、より具体的な助言がもらえます。
B予備校では、受験指導専門の職員を配置して受講生に対応しています。
その他に、自習室を完備していたり、講師に直接質問できる機会を設けていたり、入試の要項や過去問を用意していたります。
B予備校札幌校の2019年の夏期講習の日程は、7月10日から8月27日までです。
この間、2~4日を1期間として、10期間設けています。
1日の時間割は、10:00~12:50、14:40~17:30、18:20~21:10で、1単位50分です。
受講料は、すべて消費税込みで次のとおりです。
入会金 | 4,100円 |
---|---|
3講座(1講座:50分×12回) | 62,100円 |
4講座(同上) | 82,800円 |
5講座(同上) | 103,500円 |
6講座(同上) | 124,200円 |
C予備校の夏期講習の概要
C予備校札幌校の2019年の夏期講習で目を引くのは、高2生向けに2021年から始まる大学入学共通テスト対策講座を開くことです。
現在のセンター試験は2020年1月が最後になります。
2019年度の高2が、初めての共通テスト受験生になるわけです。
共通テストは思考力や判断力、表現力が問われるので、これまでのセンター試験対策では通用しない部分も出てきます。
共通テスト対策講座では、共通テストの予想問題を体験したり、今後の学習の仕方を教わったりすることができます。
高2生対象の共通テスト対策講座は、英語、数学、現代文の3科目があり、1科目は90分×2回で各7,000円(税込、テキスト代込み、以下同)です。
その他に入会金4,000円が必要です。
高3生・高卒生向けの夏期講習には次のコースがあります。
- <総合>発展講座、標準講座、基礎講座
- <テーマ別>発展講座、標準講座、基礎講座
- <医進講座>(難関大医学部受験生向け)
- <センター試験対策講座>
- <大学別対策講座>東大、京大、東工大、一橋大、東北大、北大、早大
費用・料金は1講座(90分×5回)で17,300円です。
その他に入会金4,000円が別途必要です。
夏期講習で「あせりきっておく」ことが大切
夏期講習を終了して「やばい」「全員、頭がよさそう」「あせる」「自分は出遅れている」と思うことができたら、大成功です。
「やばい」と感じることは、学力不足やまだまだやることがたくさんあることがわかったわけなので、よいことです。
「全員、頭がよさそう」と感じることは、ライバルを確認できたわけなので、これもよいことです。
「あせる」ことは最も重要で、この段階で十分あせりきっておけば、秋から平常心で勉強することができます。あせりは気づきでもあります。
気づいたのであれば、あとはやるだけです。
「自分は出遅れている」と思えたということは、ライバルの背中がみえたということです。
あとは「出遅れを取り戻さなければ」という気持ちにつなげればいいだけです。
12月になって、「やばい」「全員、頭がよさそう」「あせる」「自分は出遅れている」と思ってしまったら、合格はおぼつかないかもしれません。
しかし8月末であれば、むしろ秋からの勉強の起爆剤になります。
高3生の春~初夏になってもあせっていない受験生は、あせるために夏期講習を受講してもよいくらいです。
まとめ~「受験のニオイ」を嗅ぎに行く
北海道・札幌の受験生はどうしても「井の中の蛙」になってしまいます。
もし東京の大学に挑戦しようとしているのであれば、ライバルは東京・名古屋・大阪の大都市の受験生です。
彼らは最新の受験情報にいつでもアクセスできる状態にあります。
その情報が北海道に届くまでに時間がかかります。
また、北海道大学を狙っている道内受験生も、ライバルは道内だけに限らず全国の受験生です。
しかも北大狙いの東京の受験生は、東工大や一橋大や横浜国立大などをあきらめて道内入りしてきます。
なかなか手ごわい相手となるでしょう。
そのため「受験」という戦いの場を知ることが大切です。
北海道・札幌の受験生が全国の猛者たちと闘うには、1日も早く「受験のニオイ」を嗅ぎましょう。
夏期講習はその絶好のタイミングです。
夏期講習なら、打ちのめされても立ち上がる時間が十分あります。
現実を知れば、現実的な対応ができます。
夏期講習を余裕で乗り越えることができたら、まだまだ上を目指せるということです。
夏の段階で北大A判定が出たら、東大、京大に舵を切りましょう。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。