就職にどのような資格や検定が役立つかは、広く一般に通用するものと、やはり就職先によって変わってくるものがあります。
たとえば英検やTOEICといった英語の能力を示す資料は一般に評価されやすいです。
ただ、企業によって変わってくるのも事実です。
全く英語を必要としない仕事では、大きく評価されません。
外国人との関わりが多い外資系企業のような場合、英語の能力は高く評価されます。
こういった点を踏まえて、今回は、北海道で就職に役立つ資格をみていきます。
宅地建物取引士
北海道には、不動産会社も多くあります。
それこそ、全国展開しているところは有名です。
CMでも観られるアパマンショップ、エイブル 、ミニミニ、ビッグ。
北海道に特化している会社では、常口アトムがあります。
このような不動産系の会社に就職するのに役立つ資格は、なんといっても宅地建物取引士です。
宅建士と呼ばれることも多いこの資格は、不動産の売買や賃貸を仲介するときに必ず必要となります。
そのため、不動産業界の様々な職種において、この資格を持っていると高く評価されます。
たとえば、ミニミニの採用募集要項では「資格報酬(宅地建物取引士)」と書かれています。
宅建を持っていることで優遇されることが分かります。
(参考:株式会社ミニミニ新卒採用 )
建築会社でも評価される
建設会社のなかには、マンションや家を建てるだけではなく、販売まで手がけるところがあります。
こういった会社では、やはりマストになる宅建士の資格が重要視されます。
建設系の会社でも宅建士が活躍できる場面が存在します。
北海道には、大きな建設会社が多数あります。
たとえば、岩田地崎建設株式会社は2017年に道内受注高ランキングで1位になり有名です。
(参考:北海道建設新聞社 )
ここでは、業務内容に「不動産の売買、斡旋および賃貸、管理、企画ならびに鑑定評価 」や「宅地造成ならびに販売」を含んでいます。
(参考:リクナビ 岩田地崎建設株式会社 )
売買や賃貸まで業務としているので、宅建を持っていると就職に役立ちます。
金融業界でも有利
宅地建物取引士は、不動産系だけで有利なわけではありません。
銀行や信用金庫の就職でも有利に働きます。
銀行では、不動産を担保としたり、目的とした融資業務が行われます。
その際、宅建士のような専門知識を持った人材は重宝されます。
やはり不動産に関する深い知識があり、適切な評価をできる人は、融資の場面で重要な役割を果たします。
北海道の銀行では、北海道銀行が有名です。
道銀という愛称で親しまれていて、地域密着型の地方銀行ですね。
地元の文化振興、経済発展に寄与するために、ロシアのアムール州政府と提携したり、企業などへのコンサルティングサービスを積極的に実施したりしています。
業務内容が多岐にわたる大手の銀行では、特に宅建士の資格は就職に役立ちます。
金融業界では不動産評価が1つのファクターとなってきますから、おのずと宅地建物取引士の資格は評価されやすいです。
支店や営業所のそれぞれに宅建士を置くことも増えています。
(参考:リクナビ 株式会社北海道銀行 )
合格率
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2018年 | 213,993人 | 33,360人 | 15.6% |
2017年 | 209,354人 | 32,644人 | 15.6% |
2016年 | 198,463人 | 30,589人 | 15.4% |
2015年 | 194,926人 | 30,028人 | 15.4% |
2014年 | 192,029人 | 33,670人 | 17.5% |
このように、なかなか狭き門ではありますが、取得さえできれば大変重宝される人気資格なので、合格に向けた参考書や試験対策のための講座なども多くあります。
受験するためには自分にあった勉強法で挑戦してみると良いでしょう。
基本情報技術者
特に理系の学部を出てIT業界へ就職したい、と考えている人におすすめの資格が、基本情報技術者です。
経済産業大臣の実施する国家試験が基本情報技術者試験であり、もって基本情報技術者は国家資格になるので、大きなアピール材料として機能します。
試験内容は、IT業界で必須となる基本的な知識に関するものです。
情報処理に求められる思考力や技術が備わっているか、を判定されます。
試験勉強を通して実践的な知識を習得できる
国家試験といってもなかには、実務に出ると試験内容との関連が希薄で、あまり試験勉強が仕事に役立たないものがあります。
しかし、基本情報技術者の試験は、実際にIT業界で働くときに持っておくべき基本知識が出題されます。
試験勉強を通して、自身の適性を図り、実務に必ず役立つ知識を獲得できます。
形式的に就職に有利になるだけではなく、実質的にも確かなメリットが得られる資格です。
就職にはレベル2から有利
基本情報技術者試験は、広く情報処理技術者試験の1つにすぎません。
情報処理技術者試験は、大きく4つのレベルに分けられていて、基本情報技術者試験はレベル2に属します。
レベル1はより簡単なITパスポート試験です。
こちらのほうが受かりやすいですが、就職にはあまり意味がなく、レベル2の基本情報技術者試験の合格が新卒には必要です。
特にレベル1に受かっていないとレベル2に受けられない、という決まりはありません。
いきなりレベル2から受けられます。
北海道には、たくさんのIT関連会社があります。
たとえば札幌市では、トラスティア、リオネ、デジックなどが有名です。
トラスティアのHPでは、有資格者の数を掲載しています※。
先に紹介したレベル2の基本情報技術者が18名、さらにその上、レベル3の応用情報技術者が8名とされていて、情報処理技術者試験を重視していることが分かります。
(参考:トラスティア株式会社 有資格者 )
合格率
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2018年 | 111,381人 | 28,552人 | 25.6% |
2017年 | 105,252人 | 23,288人 | 22.1% |
2016年 | 99,999人 | 26,591人 | 26.6% |
2015年 | 101,221人 | 26,109人 | 25.8% |
2014年 | 100,879人 | 23,953人 | 23.7% |
秘書検定
秘書検定は広く一般に就職に有利になる資格です。
不動産業や金融、IT、アパレル、公務など特定の分野でのみ評価されるのではなく、北海道においてどの就職先を志望している人でも、持っていればメリットになります。
当然、秘書を目指す人だけが取れば良い資格ではありません。
秘書検定では、特に社会人としての基礎的な知識やマナーを学べます。
ビジネスの常識を試験勉強を通して習得できます。
採用側からしてみると、まだ社会に出たことのない人でも、一定の知識を備えていることが資格によって確認可能です。
検定を通して身に着けた基礎的な知識やマナーは、就職時だけではなく、その後の実務のうえで必ず役立ちます。
そういった意味でも、取得することのメリットは大きいです。
3級~1級まで4段階
秘書検定も先に紹介した情報処理技術者試験と同じく、難度によって4つのレベルが設けられています。
下から3級、2級、準1級、1級の4つです。
3級でも履歴書に記載すれば意味があるのか、と疑問を持たれる人が多くいます。
確かに、たとえばTOEICの場合は受ければ良いというものではなく、履歴書に書くには600以上が無難です。
逆にそれ未満だと、アピールになるどころか英語ができない印象を与えるリスクがあります。
3級から記載可能
秘書検定の場合、その例に当てはまらず、最も簡単な3級から履歴書に記載しても意味があります。
社会人として必要なマナーを得るために勉強に励んだこと、就職に向けて努力をしていることの少なからずのアピールになります。
もちろん、より上位の級に合格しておいたほうが、さらに有利です。
合格率
ここでそれぞれの級の合格率を示しておきます。
(参考:ビジネス系検定 受験者状況 )
- 3級…55.6%
- 2級…55.6%
- 準1級…40.5%
- 1級…22.1%
このように、どの級でもかなり高い合格率となっているのが特徴です。
特に準1級までは半分ほどの合格者が出ます。
できれば、準1級の取得を目指すのがおすすめです。
というのも、準1級からは筆記だけではなく、面接試験も加わるからです。
準1級を取得していれば、社会人としての基礎的なスキルを頭で理解しているだけではなくて、それを体現できる実力も備えていることがPRできます。
合格率も準1級は40%以上と高いですから、ここを目標にするのが良いです。
簿記検定
簿記検定も受かっておくと就職に有利です。
簿記検定を受けたことがなくても、言葉はよく聞くという人は多いです。
年間で60万人が受験するほどですから、知名度は高く、就職先も評価しやすい項目です。
簿記とは?
簿記というのは、「帳簿記録」の略称です。
すなわち、企業活動のうち、主にお金や物資の出入りを記録する能力を指しています。
これは全世界で共通の方式によるので、英語が共通語であるのと同じように、身に付けておくとどこでも役に立つスキルだといえます。
日本では言わずもがなで、北海道でももちろん、就職にあたって評価されます。
簿記検定で習得できる知識
公認会計士や税理士などの帳簿を扱う最難関国家資格の前哨戦(税理士は簿記一級の取得が受験資格の一つとなっている)として、簿記検定を受ける人もいます。
簿記検定の勉強を通して、会計に関する基礎知識はもちろんのこと、財務諸表の扱い方、経理全般の理解、経営部分析力などを獲得できます。
2級から就職に効果がある
簿記検定も一種類ではなく、3級、2級、1級と区分が設けられています。
このうち、就職において一般的に評価されるのは2級からです。
そのため、簿記を就職に生かしたい場合には、2級以上の合格を目指す必要があります。
基本的に簿記はどの就職先でも評価されやすいですが、そのスキルが直接につながる部門、たとえば企業の経理部や税理士・公認会計士事務所、保険・証券会社、銀行で特に有効です。
こういった金融方面に進みたい場合には、簿記検定(2級以上)に通ることが大きなメリットになります。
特にあらかじめ就職先のほうで簿記2級以上を応募条件にしていることもあります。
大学入試でも有利に
簿記は就職だけではなく、大学入試でも役立ちます。
簿記検定の公式HPに入試で優遇される大学が公表されています。
主に商学部や経営学部になります。
北海道では、札幌大学の地域共創学群、道都大学の全学部、函館大学の商学部で優遇されます。
(参考:商工会議所の検定試験 入試で優遇される大学 )
合格率
合格率は以下のようになっています(2018年11月の検定)。
(参考:商工会議所の検定試験 受験者データ )
- 1級…9.0%
- 2級…14.7%
- 3級…43.8%
このように、2級以上は合格率も低くなり、一気に難度が上がります。
早めの受験準備が必要です。
まとめ~北海道で就職に役立つ資格について
今回は、特に道内で就職に役立つ資格を紹介してきました。
宅建士や基本情報技術者、秘書検定、簿記、どれも取れば就職に有利に働くだけではなく、試験勉強を通して実務に直結する実践的な知識やノウハウを獲得できます。
特に北海道で自身の志望する就職先に応じて、実際に働いてから役に立ちそうな資格の取得を目指すのがおすすめです。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。