- 定期テストに向けて毎日予習復習を続けよう。
- ダイエットのためにお菓子の間食を控えよう。
- 志望校合格に向けて一日8時間勉強しよう!
など、普段さまざまな目標を立てることがあるでしょう。
こうした目標が達成できれば大いに自信となりますが、なかなか達成できず落ち込んでしまう…。そんなことはありませんか?
なぜ、目標達成することはこれほど難しいのでしょうか。
このコラムでは、目標を達成させるにはどうすればよいのかについてや、目標達成するための方法の一つ「マンダラチャート」についてご紹介します。
正しい目標を立てるコツは?なぜ目標が達成できないで失敗するのか
目標を達成することができず、いつも挫折してしまうという人は、目標設定の仕方やそもそもの計画の方に問題がある可能性があります。
次に自分が当てはまると感じた人は要注意です。
目標の設定に無理がある
適切な目標設定ができていない場合、継続して努力することは難しいでしょう。
高すぎる目標を掲げすぎてしまうと、それは単なる願望に終わってしまいます。
毎日学校の勉強が忙しく、強豪の部活に所属していて、さらに習い事やイベントなどの参加にも目一杯の時間をあてておきたい…。
それなのにさらに「朝4時に起きて英語の勉強をする」という目標を立てても無理があります。
たくさんのことに興味があるのはとてもいいことですが、キャパオーバーで、挫折してしまう可能性の方が高いでしょう。
計画に問題がある
計画の立て方も、とても重要です。
人が挫折してしまう多くの原因うちの一つは、目標達成するまでのノルマが厳しいことにあります。
例えば試験勉強の計画を立てる際に、「数学の問題集を毎日30ページ、英語の問題集を毎日50ページ進める」と決めても、それがあなたにとって日常生活でこなせる量でなければ、継続して努力することが難しいでしょう。
それとは逆に、大雑把すぎる計画も良いとは言えません。
例えば、「試験日までに勉強を終わらせる」といった、具体的な進め方を決めていないような計画では、勉強量やペースなど日々のペースがなかなかつかめず、計画倒れになってしまう可能性が高いでしょう。
試験までに勉強のノルマが終わらず、完了できないという事態が生じがちです。
気持ちを切り替えられない
計画が自分の思うように進まないとイライラしてしまい、気持ちを切り替えることができず、結果として挫折してしまう人がいます。
このタイプの人は、計画そのものや、できなかったことにとらわれすぎて、予想外の流れになった時に計画を立て直せない傾向があるようです。
計画はあくまで「計画」です。途中で予想外の出来事や優先すべき案件が突発的に入ることがあるのが普通です。
そのような時には一度立ち止まり、「計画を見直す」といった柔軟さが大切と言えるでしょう。
目標を達成するには
- 目標はなかなか達成しにくいものであること
- 目標が達成しにくい原因
これらについて述べてきましたが、目標を達成するためには、具体的にどのようにすればよいのでしょうか?
次は、目標を達成するためにはどのようにすれば良いのか、取り入れやすい方法をお伝えしたいと思います。
達成するべき具体的な目標を設定する
例えばなんとなく「成績をアップさせたい」という目標を立てている人はいませんか?
このように目標を漠然とたててしまうと、すぐに挫折してしまうことが多いようです。
けれども、「今度の期末試験で英語のテストで70点以上の成績を取らないと単位がもらえない」ということであれば、誰でもいつもよりは必死にテスト勉強に励むのではないでしょうか。
目標というものは、本当に達成しなければならないゴールを定めて立てるべきです。
達成してもしなくてもそれほど痛みを感じなくて済むような目標であれば、それは挫折する可能性が高いでしょう。
目標を立てる時には「海外旅行をするために、あと10万円アルバイトをして貯めなければならない」「大学受験するまでに英検2級を取得しておきたい」などと、具体的に設定することがコツです。
もしもその目標を達成できなかった時に、なんらかの問題が生じるものに絞って具体的に設定すると良いでしょう。
達成したときのメリットを可視化する
目標達成できなかった時に問題が生じないような目標の立て方とは逆に、目標が達成できた時のメリットを「見える化」するのもモチベーション維持のためには有効です。
例えば、目標を紙に書いて部屋の目立つ場所に貼り、常に視界に入るようにしてみるのはどうでしょうか。
ポイントとしては、より明確に目標を設定することです。
例えば、「模試の偏差値を60以上にして、◯◯大学合格を目指す!」とい書いて貼っておくのも良いでしょう。
志望大学の写真を部屋に飾るのも良い刺激になりますね。
実現可能な計画を立てるためにはゴールを決めて「逆算」することが大切
目標達成のためには計画性が欠かせません。
まずは目標という「ゴール」を設定することが大前提ですが、次はそのために「やるべきこと」を細かくリストアップしていきましょう。
そして「やるべきこと」それぞれに期限を設定すると、「いつまでに」「何を」やるべきかが明確になり、実現可能かどうかの目処を立てることができます。
こうすることで実現が難しそうな計画を立ててしまうことを防ぐことができます。
あまりにも難しいスケジュールを立ててしまうと途中で挫折しやすいので、ゴールから逆算して実現可能な期限を設定するようにしましょう。
では、目標がとても大きくて達成感をなかなか実感しづらい時にはどうしたら良いのでしょうか?
壮大な目標を持っていて、遠くのゴールへ向かって進み続けるためには、途中に小さなゴールを設定するのが良いでしょう。
小さな目標を「マイルストーン」として、ゴール手前にいくつか設定するのが効果的です。
目標達成までの期間が長くなりそうな時には、その間に設定したマイルストーンを手がかりに、小さなゴール到達を積み重ねることが継続へのモチベーションにつながります。
こうしておくと、自分が目指すゴールから見て、今どの地点にいるのかという進捗を容易に確認することができるでしょう。
計画通りに行かなくても諦めないこと、計画を修正することが大切
もしも目標を立てて計画通りにいかなかったとしても、それを失敗と捉えず、途中で諦めないことが大切です。
もしも計画通りに進まず、立ち止まってしまうようなことがあれば、障害になっている点を洗い出し、その障害に対する対応策を考え、問題を解決します。
どんなことでも始めてみると、想定した以上に時間がかかることや、計画段階ではわからなかった問題が生じることがあります。
問題が生じることの方が当たり前とも言えるでしょう。
問題が起こることをあらかじめ覚悟しておき、その都度計画を見直しすることは、目標達成への近道です。
問題が生じた時は、計画を修正しながら継続しましょう。
マンダラチャート(マンダラート)とは?
目標を達成させるためのコツをこれまで紹介してきましたが、目標達成しやすくさせるための便利なツールがあります。
「マンダラチャート(マンダラート)」というものを知っていますか?
大リーグで活躍中の大谷翔平選手が活用していたということで、聞いたことがあるという人もいるかもしれませんね。
「マンダラチャート(マンダラート)」と呼ばれる目標達成シートは、正方形のマス目が縦9マス横9マス、合計81のマス目で構成されたフレームワークのことを言います。
マンダラチャート(マンダラート)のベースとなっているのは、仏教の考え方や教えを表現した「曼荼羅(マンダラ)」にあります。
規則性を持って配置した複数の偶像をからなる曼荼羅は、すべての偶像が相互に影響しあって1つの世界を形成しているということを表現しています。
アイデアを整理し、言語化しながら嗜好を深めていき、最終的な目的を達成するというこのアイデア発想法・マンダラチャート(マンダラート)は、1987年に、経営コンサルティングを行う株式会社クローバ経営研究所の代表・松村寧雄氏により考案されました。
マンダラチャート(マンダラート)の書き方
マンダラチャートはどのようにして作るのでしょうか。
表にすると以下のようになります。
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書き方は非常にシンプルで、まずは3×3の9マスを用意します。
その一番中央に最終目的や夢、成し遂げたいことなどを決め、ひとつ書き込みます。
続いて周囲にある8マスに、その目的を達成するために必要な要素を記入します。
さらにこの8つの要素を得るために必要な行動目標を、隣接する8つのマスにそれぞれ記入して完成となります。
ここで書き込まれ細分化した81の目標をクリアすることで、自然と中央の最終目的を達成できるというものです。
大谷翔平選手も高校生のときにマンダラチャートを作った?
大谷翔平選手は岩手県・花巻東高校出身のプロ野球選手です。
高校時代にプロ選手並みの球速160キロを記録。
2013年にドラフト1位で北海道日本ハムファイターズに入団したその年に、投手としても打者としても大活躍する「二刀流」選手として名を轟かせました。
2018年からアメリカへ渡り、メジャーリーグのロサンゼルス・エンゼルスで活躍しています。
2021年、メジャーリーグ選手として二刀流での活躍が評価され、アメリカン・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出されました。
大谷翔平選手は、高校一年生の時に高校時代の監督・佐々木洋氏から教えられ、今回取り上げるマンダラチャートを作成したそうです。
その大谷翔平選手が作ったマンダラチャートとは、どのようなものだったのでしょうか。
大谷選手が作ったマンダラチャートの中心に書かれた夢は「8球団からのドラフト1位指名」というものでした。
シートの中央にその一番の目的を掲げると、次にその目的を達成するために必要な8つの要素を記入しました。
その8つの要素とは、次のようなものになります。
- 体づくり
- 人間性
- メンタル
- コントロール
- キレ
- スピード160キロ
- 変化球
- 運
これらの言葉をシートの所定の場所に書き込むと、さらにこれらを達成するための具体的な目標を、それぞれの周囲に8つずつ記入しました。
例えば、「体づくり」を達成するための要素として、体のケア、サプリメントを飲む、FSQ90キロ、柔軟性、RSQ130キロ、スタミナ、可動域、食事夜7杯朝3杯、といったように。
マンダラチャートを作成する際は、なるべく具体的に書くこと、少し高い目標を書き込むようにしたと大谷翔平選手は話しています。
大きな目標を達成するために必要な要素を細分化し、夢を叶えるための道のりを確立したのだといえるでしょう。
大きな夢や目標を掲げたとしても、一度にそれを達成しようとすると道筋を見失ってしまいます。
そんな時は具体性があり、少し頑張れば手が届きそうな目標を作るようにします。
スモールステップで、その小さな目標を達成できるよう日々努めていけば、最終的な目的を見失わずに進むことができるでしょう。
マンダラチャートを作成することで、目標の設定や現状の分析ができるだけでなく、目標に向けたプロセスを明確にでき、現在の進捗状況、自分の不足している部分や弱みなどを把握することができます。
マンダラチャートを作成するときのポイント
マンダラチャートを作成する時のポイントとしては、「目標」と「目的」の違いを理解することが重要です。
この2つは混同されがちですが、マンダラチャートを作成する時には2つの定義を区別しておかなければなりません。
「目標」とは、「目的」を達成するために必要な「目印」を設定することです。
「目的」とは、最終的に到達したいゴール、つまりマンダラチャートの中心に掲げる目的のことです。
「目的」という最終地点に到達するための過程に必要なのが「目標」です。
中心に据える「目的」は、なるべく具体的に記入すると良いでしょう。
例えば、次のような目的設定が良い例です。
- 志望校(具体的な学校名を設定して)に合格する
- 英検準1級を取得する
- 具体的な職業名をあげて、その職業につく
けれども、そもそもなぜ目的を設定する必要があるのでしょうか。
例えば「偏差値アップ」という目先の目標を掲げたときに、
- 自分の将来の目的のためのチャレンジの一つと捉えて挑戦する
- 目標はないけど周りの人から言われたから挑戦する
この二つを比較すると、達成感や満足度が全く違ってくることが簡単に想像できるのではないでしょうか。
②のように、達成したいという「目的」を掲げないまま取り組んでいると、途中でなぜ今この目標に向かって取り組んでいるのかが分からなくなってしまいます。
結果的に達成したい目的まで到達できずに終わる可能性もあります。
人がモチベーションを維持するためには、目的設定がとても重要なのです。
マンダラチャートを使うメリットとは?
では、マンダラチャートを使うメリットはなんでしょうか。
大きく分けて次の4つの点が考えられます。
目的や目標を明確にできる
「成績をアップさせたい」という目標があっても、そのために何が必要なのか、どういった要素が必要なのかわからないままでは目標が達成できません。
マンダラチャートでは、中央に「成し遂げたいこと」を掲げ、それを実現するために必要な要素である目標を細分化して書き込みます。
こうして目標を明確にし、細分化した目標を一つひとつクリアすることで、最終的に成し遂げたい目的を実現できるというものです。
目標は目的を達成するためのステップとなるのです。
今までに気づかなかったような新しいアイデアを生み出せるかも
マンダラチャートを作成するときには、はじめからすべてのマスを埋めて完成させる必要はありません。
どうしても空欄ができてしまう時にはそれ以外のサブテーマを埋めてからゆっくりと考えてみるとよいでしょう。
81個ある空欄に言葉を全て入れ込む作業は大変かもしれません。
けれどもその作業こそが、今まで気づかなかった新しいアイデアを生み出すきっかけになるのです。
このように、マンダラチャートを作成すると、これまでに思いつかなかったようなアイデアが出てくるというメリットもあるのです。
目標達成するまでの具体的なプロセスをわかりやすく可視化できる
目標達成するまでのプロセスをあれこれと頭の中で巡らせていても、実際の行動ではなかなかうまくいかなかったというような経験をしたことがある人もいるかもしれませんね。
マンダラチャートでは、頭の中で考えていたこれらのプロセスを可視化することができます。
目標を可視化することで思考整理ができ、他に人に自分の考えを伝えやすくなるといったメリットが生まれるのです。
煩雑になりがちな思考をすっきりと整理することができる
最終的な目的を成し遂げるためにどうしたら良いか、どういった方法があるかといったプロセスを考えているうち、頭の中の考えが煩雑になってしまうことがよくあります。
「よくよく考えればシンプルなタスクのはずが、難しく考えすぎて失敗してしまった」
「あれこれ考えているうちに何から始めたら良いのか分からなくなってしまった」
こうした事態を防ぐためにもマンダラチャートは有効です。
マンダラチャートのメリットのひとつは「思考整理」です。
目標を可視化して明確にすることで、目的達成への道筋を見失わずに済むのです。
では反対に、マンダラチャートにはデメリットはあるのでしょうか。
デメリットをあえてあげるとすれば、大きな目的に対して8つの派生した要素が思いつかないといった場合は対処法に欠けると点があげられるでしょう。
マンダラチャートはあくまでひとつの目的を中心に据え、そこから派生した思考を広げていくための手法なため、思考が思うように広がらない場合は使いにくいと感じるかもしれません。
最終目的から派生する8つのテーマがすらすらと出てこない場合は、マンダラチャートの使用を一度見直してみましょう。
まとめ
受験生や学生の皆さんは、将来自分がどんなふうになりたいのか、どのような職業に就きたいのかを、じっくりと考えてみたことがあるでしょうか。
もしも自分の思考を整理して、将来の目標や目的をしっかりと定めておきたいという人がいたら、このマンダラチャートを一度作成してみるといいかもしれません。
マンダラチャートを作ることで、目的達成の全体像を把握できるだけでなく、ここで紹介したような様々なメリットも得られるからです。
もしも今何か夢や希望を持っている人がいたら、目的や目標を定め、マンダラチャートを作りそれに沿って行動することをお勧めします。
他人からはとても叶わないと思われそうな「大きな夢」や「将来成し遂げたいこと」でも、マンダラチャートを使えば案外「できるかもしれない」と思えるようになるかもしれませんね。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。