子供はよく、大人が答えにくい質問をします。
「なんで、おちんちんがついている人と、ついていない人がいるのか」
「なぜ死ぬのか」
こうした質問に、保護者はどのように答えたらよいのでしょうか。
幼稚園児や保育園児などの、就学前の子供の質問であれば、とりあえずごまかすことができます。
また、中学生から質問されたら「自分で調べなさい」と言うことができます。
しかし小学生には、保護者がしっかり答えてあげたほうがよいでしょう。
この記事では、「大人が答えにくい質問」を紹介したうえで、「こういう感じに答えてはいかがでしょうか」という提案をします。
答えは複数個用意しましたので、我が子の性質やその場の雰囲気を考えながら、ベターと思われる回答を選んでみてください。
セックス
冒頭でも紹介したように、子供はかなり早い段階から生殖器に興味を持ちます。
生殖器についての質問に答えようとすると、どうしてもセックスに行き着いてしまいます。
しかし小学生の段階で、セックスについて詳しく教えることは避けたほうがよいでしょう。
ただ、小学生になるとごまかし切れるものではありません。
もし保護者が生殖器やセックスについて明確な答えを出さなければ、子供は家庭の外で解決を図ろうとします。
つまり、その他の大人に尋ねるようになります。
それも望ましいことではありません。
そこで、生殖器やセックスについての質問は、「質問自体が適切ではない」ことを教える必要があります。
順を追って説明します。
小学生がするであろう、セックス関連の質問
回答を考える前に、小学生が生殖器やセックスについてどのような質問をするか考えてみます。
- 「なぜ、おちんちんがついている人と、ついていない人がいるのか」
- 「男性器(実際は隠語で話す)は何のためにあるのか」
- 「女性器(実際は隠語で話す)は何のためにあるのか」
- 「セックスって何?」
- 「子供はどうやって生まれるのか」
- 「股間(実際は隠語で話す)を擦ると気持ちがいいのはなぜか」
多くの保護者は、子供から、こうしたセックス関連の用語が出ると驚きます。
それで、しどろもどろになってしまいます。
保護者がうろたえていては正しく教育できないので、「子供でもこれくらいのことは聞いてくる」と覚悟しておいてください。
これらの質問に、どのように答えたらよいのでしょうか。
このように答えてみてはいかがでしょうか
小学生の子供からセックス関連の質問を受けたら、保護者は次のように答えてみてください。
この答えは躾(しつけ)と考えてもよいでしょう。
それというのも、大人の世界でも、セックスの話題は公の場では避けます。
また、極めてプライベートな場所でも、セックスの話ばかりする人は、常識が欠けていると考えられます。
したがって、小学生の子供に生殖器やセックスについての話題を禁じることは、なんら問題はありません。
ただし、絶対に教えないわけではないことは伝えておいたほうがよいでしょう。
「中学生になったら教える」と約束することで、子供の好奇心の「芽」を摘まないようにします。
家庭でセックスについて教えないと、子供は外で尋ねようとします。
そのため、セックスについて教えないと宣言したら、外でも尋ねないように、次のように指導してください。
小学生でも、ごまかしがきかなくなることがあります。
生理が始まったときや、自慰行為を始めたときは、はぐらかすことができなくなります。
そのような小学生から、セックスについて尋ねられたら、次のように説明してあげてはいかがでしょうか。
子供がそのような状態のときに、保護者が説明をごまかしてしまうと、子供は深い悩みを抱えることになります。
「自分は不潔な存在だ」「体に異常が起きた」「このままでは死んでしまう」といったことを想像するようになります。
こうした勘違いは、後年、笑い話になることなのですが、子供時代の子供自身にはつらい体験です。
そのため保護者は、生理や自慰行為とセックスの関係や、セックスと人の誕生の関係を説明してあげる必要があります。
ただし、そのときは、詳しく解説する必要はないと思います。
それ以上は今は説明しない。
セックスの話題を出すことは、よくないことであることは、しっかり覚えておくように」
説明は、これくらいにとどめておいたほうがよいでしょう。
小さな子供がセックスに関する知識を持っても「よいこと」はひとつもないからです。
保護者は、性的なこと以外のことに注意や興味が向くように、子供を導いてあげましょう。
死
小学生でも死に興味を持つことがあります。
生よりも先に、死に関心を持つ子供も少なくありません。
虫を殺して、死を確かめる子供もいます。
また、人が死ぬことを知った子供は、強い恐怖に襲われるでしょう。
保護者は、死に関心を持った子供にしっかり向き合う必要があります。
小学生がするであろう、死に関連する質問
小学生であれば、死について次のような質問をするかもしれません。
- 「なぜ、人は死ぬのか」
- 「死んだら、幽霊になるのか」
- 「なぜ、殺してはならないのか」
- 「天国と地獄はどこにあるのか」
- 「お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんが死んだら嫌だ」
- 「死にたくない」
- 「死んでみたい」
- 「虫を大量に殺してやった」
- 「猫を殺してみたい」
このような死に関する質問や考えも、セックスの質問同様、保護者にはショッキングなものですが、子供自身はそれほど深く考えているわけではありません。
保護者は、子供が発する言葉の「どぎつさ」にうろたえることなく、毅然とした態度で「死の質問」に向き合ってください。
「お母さん(またはお父さん)もよくわからない」と言おう
死に関する質問への答えで最も重要なのは、保護者自身が「よくわからない」と認めることです。
子供に死について聞かれたら、最初に次のように断言してしまいましょう。
そして、保護者たちだけでなく、人類はまだ死を解明できていないことを教えてあげてください。
死に関する本はたくさんあり、死を研究している人はたくさんいますが、誰一人として死を明確に定義できた人はいません。
例えば、「心臓が止まって、脳細胞が死ねば、死である」という説明は、医学的には正しいのですが、哲学的には説明になっていません。
例えば、生きている人の言葉より、死んだ人の言葉のほうが重要であることは珍しくありません。
この場合、死んだ人の言葉は生き続けていることになります。
ある人がいて、その人がある言葉を発した場合、その人とその言葉は切り離せません。
そして、その言葉に価値があり、その人の死後もその言葉が生き続ければ、その言葉を発した人の死はどのような存在になるのでしょうか。
このように、死を説明することは簡単ではないことを、子供にしっかり伝えてください。
「人間の犠牲になる死がある」ことを教える
小さい子供は、虫などの小動物を「平気」に殺します。
そして子供が10匹の蚊や5匹のゴキブリを殺しているだけなら、大人もなんとも思わないでしょう。
また、牛、豚、鳥などの家畜は、むしろ積極的に殺して食肉にしなければなりません。
しかし、子供がウサギや猫や犬を殺し始めたら、それは「異常」であり、精神科の医師に診てもらう必要があります。
子供が死に関心を持ったら、世の中には「人間の犠牲になる死」があることを教えてあげてもよいでしょう。
「もし必要であれば」次のような説明をしてあげることができます。
人への害を少なくするために、蚊やゴキブリは殺処分しなければならない。
そして、牛、豚、鳥を殺さないと、おいしい料理を食べることができない。
しかし、人間を殺してはならない。
また、犬や猫やウサギなどのペットも、決して殺してはならない」
そして、人間の犠牲になる死について教えるときは、必ず次の2点を併せて教えてあげてください。
「死や殺しは、最小限にしなければならない。極力回避しなければならない」
「絶対に殺してはいけない対象がある」
死は「絶対的な終了」であり「取り返しがつかないこと」であることを教える
小学生が見るアニメや漫画には、死んだものが生き返る場面が出てきます。
「一度死んだはずの主人公が、脅威の生命力で生き返った!」といたシーンは珍しくありません。
多くの子供は、アニメの死と現実の死が違うことを理解できるので、保護者がそれほど敏感になる必要はありません。
ただし、死について強い関心を持ち、アニメの死と現実の死を混同している場合、保護者はそれを正してあげる必要があります。
次のように伝えてあげてください。
「絶対的な終了」「取り返しがつかないこと」とは、「人が何をしても元に戻せないこと」です。
小学生であれば、テレビやスマホや自動車といった、人類の英知の産物の存在を理解できます。
つまり、人間は、やろうと思えばなんでもできるし、なんでもつくれることを教えることができます。
ただし、唯一、死を元の生に戻すことだけは、永遠に不可能です。
そのことを教えましょう。
死は「恐ろしくて悲しいこと」であると伝える
保護者が死について説明すればするほど、子供はおびえるでしょう。
説明の途中で泣き出すかもしれません。
その日の夜は、恐怖で眠れなくなるかもしれません。
もちろん、そこまで子供を追い詰める必要はありません。
子供が恐がったら、死の説明を途中で終わらせてください。
そして、次のように言ってあげてください。
お母さん(またはお父さん)も、毎日、『死ぬことは恐い』と考えている」
さらに、保護者は、「大人は、子供たちに死が訪れないように、守るために存在している」と伝えてください。
「必ず死は訪れる」ことを教え「だから生きることが重要になる」と教える
ほとんどの子供は、死について一時的に関心を持つだけで、深掘りすることはないでしょう。
しかしもし、自分の子供が、執拗に死について尋ねてきたら、次のように伝えてあげてください。
「誰でも、どの動物でも、どの植物でも、すべての生きているものは、必ず死ぬ。
晴れていても必ず雨が降るように、生きているものは必ず死ぬ。
必ず訪れるものだから、これはもうあきらめるしかない。
お母さんも、お父さんも死ぬし、それより先に、おじいちゃんやおばあちゃんが死ぬかもしれない。
そして君も、必ず死ぬ。
だからこそ、一生懸命生きなければならない。
死ぬとすべて終わってしまうから、死が訪れる前に、精いっぱい生きなければならない。
怠けて生活したり、悪いことをしたり、勉強をしなかったりすると、『しっかり生きる』ことなく死ぬことになって、死の直前にとても後悔する。
大人がしっかり生きているのは、死ぬ直前に後悔したくないからなんだよ」
生きる意味
子供は、死の意味を考えるのとは別に、生きる意味について知りたがります。
ただもちろん、子供にとっての生きる意味は、大人が考える生きる意味と「次元」が異なります。
とはいえ、子供なりに真剣に考えています。
例えば子供は、「なぜ勉強しなければならないのか、勉強なんて嫌だ」と思ったら「そうだ、生きているから勉強しなければならないんだ」「生きていなければ、勉強なんてしなくて済む」「なぜ生きなければならないのか」と考えたりします。
こうした思考は、次元が低い考えではありますが、本人は真剣です。
そのため、保護者の回答も、次元は低くくてもよいのですが、真剣でなければならないでしょう。
「人間は生き続けなければならない」ことを教える
生きる意味を考え始めた小学生には、まずは、次のように言ってあげてください。
自分が死なないようにしなければならないし、人の命を奪ってもならない。
人生が楽しくても、つまらなくても、生き続けなければならない」
このように言ってあげることで、生きることは理屈ではないことを教えてあげることができます。
子供が生きる意味を考えたら、「生きなくてよい人間なんて1人もいない」ことを教えてあげましょう。
「有意義に生きたほうがよい」ことを教えよう
生きる意味を考え始めた子供には「有意義」という言葉を教えてあげてください。
有意義とは「優れた意味があること、優れた価値があること」という意味です。
そして次のように言ってあげてください。
どうせ生きるなら、有意義に生きるべきだ」
人は、生を受けた以上、生き続けなければならず、生き続けるのであれば、有意義に生きるべきである――そのように教えてあげてください。
なぜ小学生にはしっかり答えたほうがよいのか
さて、次の「小学生の質問」に進む前に、なぜ、小学生の質問にはしっかり答えたほうがよいのかを考えてみましょう。
保護者は小学生の子供を、「幼稚園児、保育園児が成長した姿」としてとらえるのではなく、「中学生になる人」ととらえたほうがよいでしょう。
中学生になると、思春期を迎えます。
大人に猛反発をしたり、性に目覚めたり、欲が大きくなったり、残酷になったりします。
そして、中学生の過ごし方によって、その後の人生が大きく変わります。
つまり、小学生でグレても中学生で修正できれば、その後の人生に大きな悪影響を及ぼしませんが、中学生でグレてしまうと、不遇な人生を送るリスクが高まります。
そのように考えると、小学生時代は、中学生でまっすぐ育つための重要な準備期間といえます。
だからこそ、小学生の子供の質問に、保護者は真摯に向き合ったほうがよいのです。
セックスの質問については、ときに、はぐらかしたり、ごまかしたりする必要があります。
しかし、「真剣に」はぐらかしてほしいのです。
「いずれ必ず教えるが、そのときまで、性への興味を封印しておいてほしい」と真剣に伝えてください。
そして、性的な成長が、周囲の子供より早ければ、なおさら真剣に対応してあげてください。
死についても、子供が真剣に悩んでいたら、保護者も真剣に向き合ってあげてください。
子供は、死を軽んじることがあります。
バッタの足を切断して、もがき苦しんでいる様子を見て笑うことも珍しくありません。
カエルを捕まえて、壁に投げつけて殺す遊びをする子供もいるでしょう。
安全な小さな蛇をわざわざ追いかけて、石で叩き潰すこともあるかもしれません。
そうした行為を見つけたら、当然叱らなければなりませんが、しっかり叱ったあとは、死について親子で話し合ってみてください。
「なぜ、牛と豚と鳥は、多くの人類が平気に殺すのか」
「日本人はクジラを殺して食べることに平気だが、なぜ欧米人はクジラを食べる日本人に嫌悪感を示すのか」
こうしたことを、答えが出なくてもいいので、大人と子供が考えることで、死への畏敬の念がつくられていきます。
勉強
口癖のように「なぜ勉強しなければならないんだ」と言う子供がいます。
保護者であれば「四の五の言わずに、勉強をしなさい」と、頭ごなしに指示するのもよいでしょう。
世の中は、理屈だけで動いているわけではないことを教えることも大切です。
しかし、保護者に余裕があるときは、「勉強する意義」を子供にしっかり教えてあげましょう。
「知らないことを知るには勉強をするしかない」と教える
勉強をする意義は、知らないことを知るようになることです。
それで、次のように言ってあげてはいかがでしょうか。
知らないことを知るようになるには、勉強をするしかない」
「知らないことが多い人は大損する」「勉強をすると大損を回避できる」と教える
小学生であっても、功利的な考えを持つことがあります。
功利的とは「自分のための利益だけを求めるさま」という意味です。
自分の子供には、できれば功利的な考えは持ってほしくないでしょう。
保護者の多くは、子供には、利他的な考えを持ってもらいたいと考えます。
利他的とは、「自分の損失をかえりみず、他者のために行動すること」という意味です。
しかし、勉強をする意義を教えるには、子供の功利的な気持ちを強めることが必要になることがあります。
それで、子供から「なぜ勉強なんてしなければならないのか」と質問されたら、次のように答えてもよいでしょう。
大人になると、知らないことが多い人より、多くのことを知っている人のほうが、有利になる。
知らないと大損することもある。
だから、知識を増やせば、大損をしなくて済むし、知識を上手に使えば、大きな得を得ることができる」
さらに、次のように伝えてもいいかもしれません。
ただし、これだけ功利的な考えを強調したら、次のことも併せて教えてあげてください。
人にとって最高の幸せは、困っている人や弱っている人を助けることなんだよ。
人が、賢くなったり、強くなったり、えらくなったり、お金持ちになったりするのは、弱い人を助けるためなんだよ。
弱い人を助けない賢い人や、困っている人を無視するお金持ちは、よい人間とはいえないからね」
難しいこと
子供に、AI(人工知能)や中東情勢、日本の政治といった、いわゆる「難しいこと」を尋ねられたら、どうしたらよいでしょうか。
保護者は、一生懸命勉強して、答えてあげてください。
一生懸命勉強するといっても、1時間もあれば、小学生ぐらいが納得できる回答はつくれます。
スマホで「AI」や「中東情勢」や「日本の政治」を検索して、関連記事を10本も読めば、子供にいちから教えてあげることができます。
難しい質問にしっかり答えてあげると、子供に知的好奇心が生まれます。
子供にとって知的好奇心は、最高の宝物になるはずです。
まとめ~保護者の答え次第で子供のその後が決まる
子供は深い考えがなく質問してきます。
保護者が困る質問をするのは、偶然です。
つまり、アニメのキャラクターについての質問と、死についての質問は、子供的には同じ価値です。
しかし保護者にとっては、子供から出てくる「答えに困る質問」は、子供に重要なことを教える貴重なチャンスです。
子供の質問は突如出てきますので、保護者は「これについて聞かれたら、こう答えよう」と準備しておく必要があります。
保護者たちの間で「想定問答」を用意しておいてはいかがでしょうか。
そして想定問答を考えることは、躾や教育を考えることにもつながると思います。
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この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。