北海道の中学生の皆さん、高校選びは順調でしょうか。
多くの方が全日制高校の普通科を検討されている事かと思われますが、学科によってはとても楽しい高校生活となる可能性もあります。
本記事では高校の学科選びについてを解説しております。
普通科を検討されている皆さんに新しい選択肢が生まれる事かと思います。
学科選びが将来に直結するケース3つ
無難に普通科に進学を考えている皆さん、少し待って下さい。
現在高等学校では特色のある学校づくりを推進しています。
要するに学校ごとに個性を出そうとしているという事です。
2019年5月に「普通科の改革」が政府より提言されてから普通科にもっと個性をもたせようとする動きが出ています。
直ぐに改革が進むわけではありませんが、自分が興味を持っている分野について一度考えてみませんか。
学科選びが重要となる3ケースを以下に示しています。
ご自身の関心と照らし合わせて御覧ください。
専門職に就きたい場合
エンジンの設計を行いたい、プログラマーとして働きたいなど専門的な技術を必要とする仕事を専門職といいます。
この他にも研究者や看護師なども当てはまります。
もしあなたが車に興味を持っておりエンジンを設計したいという希望があるのであれば、工業系の学科がある高校に進学する必要があります。
工業系の高校では一年生の頃から実習の機会に恵まれており、早い学校ですと二年生になると機械の現物を修理したりメンテナンスを行ったりという実習が加わります。
すなわち若い段階から実物で学習が出来るという事です。
看護師を目指している方も同様に模型を使った実習などの機会に恵まれています。
加えて実際に病院に出向き、実習を行うなどの教育も展開されており普通科の高校ではあり得ないほどの高度な教育を受ける事ができます。
このように専門的な知識を武器にしたいと考えている場合は、普通科の高等学校では身につける事ができませんのでお勧めしません。
大学へ進学してからでも遅くないという考え方もありますが、早い段階から良い環境に馴染むという側面からもやはり専門の学科に進学する方が良いと言えます。
国公立大学を目指したい場合
中学生の頃から大学進学を意識する方も増えました。
もし皆さんが公立大学や国立大学への進学を検討しているのであれば、普通科ではなく文理学科や進学コースが設けられている高校を選択肢に入れる必要があります。
立命館大学や青山学院大学などの難関私立大学までであれば、中堅公立高校の普通科からも進学することが可能ですが、大阪市立大学や北海道大学などの公立大学へ進学するのであれば普通科では少し不安が残ります。
結局は本人の努力や工夫次第ではありますが、国公立大学へ進学するのであれば、それに特化したサポート体制が有るに越したことはありません。
そのため最初から難関大学への進学を前提としている学科を検討すると良いでしょう。
ハイレベルな英語力を身に着けたい場合
グローバル化が急速に進んでいますが、外国人が当然のように身の回りに居る今だからこそ英語を身に着けたいと考える皆さんも多いのではないでしょうか。
英語を話すことの出来る人になりたいのであれば、>英語教育を全面に押し出している高校を選ぶと良いでしょう。
中学生の皆さんが知っている英語は受験英語。
すなわち高校や大学などで行われる受験を突破するためだけに勉強している英語です。
授業に占める英会話の割合が低いため、聴くことや話すことに不安を覚える結果となりがちです。
英語教育が盛んな高校では「話す事ができる」に重点を置いた教育を展開しているため、実際に英語を使うという経験を普通科よりも多く設けられています。
ALT(英語教員のアシスタント)の先生が他の学校よりも多く配置されているケースも多く、海外やエアラインで活躍することを夢見ている皆さんにお勧めできる学科です。
私立高校と公立高校どっちがいい?
学科をしっかりと選択することで、ハイレベルな技術や能力を身につけるチャンスを増やすことが出来ます。
上記以外にも特別なカリキュラムが組まれている学科は多く存在するので是非ご自身の目で確かめて下さい。
続いては私立高校と公立高校のどちらを選択すればよいのかについて、学科の観点から紹介します。
学科の特色は一般的に私立高校が優れている
私立高校は学校法人と呼ばれる会社が運営している学校のことを指します。
そのため他の学校にはない特徴を全面に押し出しており、他の高校にはない魅力を持っているケースが多いです。
例えば進学を特色としている私立高校であれば、国公立大学へ送り出すために専門の教員を揃えています。
そのためノウハウも沢山持っており、またきめ細やかな指導が期待できます。
その一方で私立高校は運営元が会社という事もあり、公立高校と比べて授業料が高い事が特徴です。
会社は儲けなければならないため、どうしても授業料が高くついてしまいます。
札幌市では奨学金制度も行っておりますので、ご家庭の実態に応じて検討していただけます。
公立高校は安心感が魅力
公立高校は都道府県や市町村が運営しており、その運営費は税金で賄われています。
税金で儲けるなんて事は絶対にしませんので、その分授業料も低く抑えられている事が特徴です。
また自治体が運営している以上、教育の質に関してもある程度保証されています。
高い教育が受けられるとは限りませんが、一方で低水準の教育を受ける事になるという事態は防ぐことが出来ます。
国の政策に沿って動いているため、安心感が有ることも特徴です。
先述の「普通科に個性を持たせる」という話も、国が主導して動いているため公立学校の教育は国によって保証されているという訳です。
公立高校からも難関私大や国公立大学への進学は可能なので、どの程度成績を伸ばすことが出来るかは皆さんの頑張り次第です。
このように学科に関しては現時点では私立高校が優勢。
しかしこれからは公立学校にも特色が出てくると予想されます。
もし公立高校に個性が出始めるとすれば、授業料が安く国のバックアップも有る公立高校が有力となってくると言うのが現在の状態です。
北海道にある魅力的な高校の学科
北海道の公立高校の中から私が関心を抱いたものをリストアップしております。
どちらの学校も独自のカリキュラムを組んでおり、その道を極める方にとってはとても魅力的な学校です。
札幌国際情報高等学校(国際文化科)
学校設立が1995年と新しい高校です。
他の高等学校と違う特色として、札幌国際情報高等学校では「使える」英語を強みとしています。
多くの高校ではまだ受験英語から抜け出せていない所も多いため、本校国際文化科を卒業するだけでも相当の英語力が身につくと考えられます。
その裏付けとして海外大学への進学実績がコンスタントに出ている事も特徴として挙げられます。
なお卒業生にはロックバンド・サカナクションの草刈さんがおられます。
おといねっぷ美術工芸高等学校(工芸科)
世界的に有名な彫刻家である砂澤ビッキが製作の場としていた音威子府村の高校です。
小さな村の高校であるため寮生活をする生徒も多く、地域との交流も盛んです。
道内唯一の工芸科という事もあり、在校生の大半が村外から進学してくるそうです。
作品の質はどれも高く、カリキュラムが充実している事も伺えます。
ソチ五輪でクロスカントリーの日本代表を経験した吉田圭伸選手の出身校でもあります。
帯広工業高等学校(電子機械科)
帯広工業高校の電子機械科は主に工業製品への知識を深める為の学科です。
溶接や旋盤の実習を一年時から行っているほか、コンピューターのプログラムを学習し、それを機械へ応用する発展的なカリキュラムが組まれている事が特徴です。
大学進学の実績も良く、工業系の大学へ進学する生徒が多い印象です。
更に高校を卒業してすぐに技術職へ就く方もおられ即戦力に定評があります。
卒業生にはYouTuberとして活躍されている方もおられ、ものづくりの高校の名に恥じぬクリエイティビティを発揮しています。
稚内高等学校(衛生看護科)
道内で2校しかない衛生看護科がある高校です。
高校卒業後は看護系の大学や病院の看護師としての進路が一般的です。
また医学部への合格者もおり、本人次第ではありますが、医療系の進路を希望している方であれば有力な候補です。
ただし衛生看護学科は卒業までに5年の在籍期間がありますので注意して下さい。
紋別高等学校(総合ビジネス科)
オホーツク海に面した紋別市にある紋別高等学校は3学科展開の特色ある高校です。
中でも商業に関しての学問を修める事のできる総合ビジネス科では面白い実習を行っています。
実際に地域の産業と手を組んで、高校生が商品を企画し販売まで行うというものです。
地域に根ざした高校ならではの取り組みで、都市部ではあまり例がありません。
進学先は商業系学部の他にも経営学や経済学の道に進む生徒も多いという事です。
おわりに:学科の選択は積極的に!
公立高校でも特色のある学科が多数存在することがお分かりいただけたかと思います。
そもそも普通科以外の学科では、専門の分野に特化した教育を行うための設備や環境が整備されているので、将来の夢が決まっている皆さんにとってはとても心強い学校となります。
将来の選択肢を広げると言った意味でも一度リサーチを行っていただくと良いでしょう。
皆さんの過去を振り返ってご自身の興味に合致した学科が無いか探してみて下さい。
その結果、普通科が良いと判断されたのであればそれで構いませんし、気に入った学科が見つかったのであれば私も嬉しく思います。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。