北海道には、全国的に注目されている動物園が2つもあります。
札幌市円山動物園と旭川市旭山動物園です。
将来、動物博士になりたいと考えている道内の子供たちは、ぜひ円山と旭山を「勉強の場」と考えてみてください。
単に動物たちを見て驚いたり喜んだりするのではなく、しっかり「観察」してほしいのです。
このようなことを言うと「せっかく動物園に行くのに、勉強なんてしたくない」と思うかもしれませんね。
だけど、心配はいりません!
動物園を勉強の場だと思って観察する気持ちで見ると、動物たちのことが2倍も3倍もわかるようになります。
動物についてそれだけ詳しくなると、ますます動物のことを好きになるでしょう。
しかも動物園での勉強は、体験することが多いので学校の勉強とは一味違います。
楽しみながら学べてしまうのが、円山動物園勉強と旭山動物園勉強のよいところなのです。
観察ノートをつくってみよう
最初から勉強することが嫌な子は、じっくり見るようにしてみましょう。
動物たちを見るだけでいいです。
しかし、動物たちをじっくり見ることは意外に難しいのです。
なぜなら、じっくり見ているうちに「どこを見たらいいのかわからなくなってくる」と思えてくるからです。
そこで、動物園に行く前に、観察ノートを用意してください。
円山動物園によく行く子は、普通のノートを買って、その表紙にマジックで「円山動物園 観察ノート」と書いてください。
旭山動物園によく行く子は「旭山動物園 観察ノート」と書いてください。
観察ノートのつくり方と使い方を紹介します。
「円山動物園 観察ノート」のつくり方と使い方
「円山動物園 観察ノート」のつくり方と使い方から先に説明します。
円山動物園には、猛きん類がいる「猛きん舎」があります。
猛きん類とは、鋭い爪で他の動物を捕まえて食べる鳥のことです。
円山動物園の猛きん舎には、オオワシとイヌワシとオジロワシとユーラシアワシミミズクがいます。
ノートの1ページ目の一番上に「オオワシ」と書いてください。
そして2ページ目の一番上に「イヌワシ」と書いてください。
3ページ目には「オジロワシ」、4ページ目には「ユーラシアワシミミズク」と書いてください。
するとノートはこのようになります。
ここまでを家で準備して、この「円山動物園 観察ノート」を持って円山動物園に行ってください。
そして円山動物園に入ったら、最初に「猛きん舎」のオオワシの檻(おり)に行ってください。
そこで、オオワシのページ(1ページ目)に、オオワシの「大きさ、色、動き、臭い、うんち、食べ物」について書きこんでいってください。
見たままのものを書いてもいいですし、もし飼育員さんがいたら質問をして書いてもいいです。
オオワシについて書き終わったら、次にイヌワシの檻を見て、同じ項目を書いてください。
オジロワシにもユーラシアワシミミズクにも同じように、動物の実物を見て書いていきます。
見たままの動物のことをノートに書くことが、観察になります。
観察ノートをつくると、事前に観察するポイントを決まるので、「ここを見なければいけない」ということがわかり、しっかり見ることができるようになります。
円山動物園には「フクロウとタカの森」というコーナーがあって、ここにも鳥が展示されています。
「エゾフクロウ」「シロフクロウ」「トビ」「ノスリ」「アメリカワシミミズク」がいます。
これらの鳥についても1ページずつ「エゾフクロウのページ」や「シロフクロウのページ」をつくっていきましょう。
この観察の重要なポイントは、すべての動物について「同じ項目をチェックすること」です。
すべての動物の「大きさ、色、動き、臭い、うんち、食べ物」をチェックすることで、比較ができるようになります。
比較をすると、性質がよくわかってきます。
「同じ項目をチェックすること」や「比較」は、本物の動物博士たちも行っています。
「旭山動物園 観察ノート」のつくり方と使い方
「旭山動物園 観察ノート」では、動物が住んでいる国別につくりましょう。
旭山動物園には、次のようなアフリカの動物がいます。
「旭山動物園 観察ノート」はこのような感じになります。
動物園に行って実際にその動物を見て、大きさ、色、動き、臭い、うんち、食べ物を書いていきましょう。
この観察をするだけで、アフリカの動物についてかなり詳しくなります。
そうなると「アフリカに行って、これらの動物の野生の姿を見たい」と思ってくるはずです。
これが勉強効果です。
勉強には、つまらない勉強と、すればするほど勉強したくなる勉強があります。
動物博士になりたい子供が動物園でする勉強は、勉強が楽しくて止まらなくなる勉強です。
しかし、つまらないと感じる勉強もとても大切です。
このことについては、あとで説明します。
円山動物園のイベント
よりレベルが高い動物園勉強をするには、動物園が行っているイベントに参加するとよいでしょう。
動物園のイベントは、子供たちに勉強と気がつかせないように勉強させる工夫がされています。
円山動物園では例えば、「ヒグマってどんな動物」というイベントを行っています。
ヒグマは北海道の森のなかにいる巨大動物で、人を襲うこともある獰猛な性質を持っています。
それで、山から街に降りてきたヒグマはハンターによって射殺されてしまいます。
しかし森のなかにいるヒグマは殺されません。
それは人とヒグマは、北海道のなかで共存すべきだからです。
共存とは、住む場所をわけて両方とも生きていくことです。
そこで円山動物園のイベント「ヒグマってどんな動物」では、ヒグマの専門家が、ヒグマの生態や出産の仕組みなどを説明してくれます。
生態とは生き方という意味です。
ヒグマの生態を理解できれば、人との共存が可能になります。
ヒグマの専門家とはヒグマの生態を研究している人のことで、動物博士の1人です。
ヒグマの専門家の話を聞けば、動物博士がどのようなことをしているのかわかります。
円山動物園には「サケになって動物園を歩こう」というイベントもあります。
サケの専門家が、サケの一生について解説します。
でも、おかしいですよね。
魚のサケの説明なら、水族館でするべきでしょう。
円山動物園にはサケを展示していません。
なぜ動物園でサケのイベントを開いているのでしょうか。
それは、円山動物園にいる動物とサケは、とても関係が深いからです。
例えばヒグマはサケを獲って食べます。
ヒグマ以外にもサケに関連する動物はたくさんいます。
「サケになって動物園を歩こう」では、サケに関係する動物の檻の前に行って、専門家からサケと動物の関係の話を聞くことができます。
その他、円山動物園では、「ワニと恐竜」や「鳥と恐竜」などをテーマにしたイベントを開いています。
イベントの内容は変わりますので、ここで紹介したイベントが開かれていないかもしれません。
しかし別のテーマのイベントが開かれているので、楽しみにしてください。
イベントに参加するには、事前に円山動物園に申し込む必要があります。
旭山動物園のイベント
旭山動物園もたくさんのイベントを開催しています。
その一部を紹介します。
もぐもぐタイム
もぐもぐタイムは、飼育員さんが動物たちに餌を与えているところを観察できるイベントです。
飼育員さんがいろいろ説明してくれるので、勉強になります。
なるほどガイド
なるほどガイドは、餌やり以外の時間に飼育員さんが、動物たちの前で説明してくれるイベントです。
ワンポイントガイド
ワンポイントガイドも、なるほどガイドと同じように、飼育員さんが動物の前で説明するイベントですが、こちらのほうがより詳しい解説します。
ちなみに2019年10月は3回開かれ、トナカイ、フラミンゴ、シロテナガザルの説明を、これらの動物を実際に見ながら聞くことができました。
毎回違う動物の説明をしているので、いつどの動物のワンポイントガイドを行うかは、事前に旭山動物園に尋ねておきましょう。
こども牧場
こども牧場は、ウサギやモルモットの体に触ることができるイベントです。
ウサギもモルモットもペット屋にいる動物ですが、こども牧場なら飼育員さんの説明を聞くことができます。
単なるかわいい動物だった存在が、生態を知ることで勉強の対象になります。
とことん旭山
とことん旭山は、「動物園の裏側探検」や「餌やり観察ガイド」「開園前の動物園ひとりじめ」といった、いろいろな体験を一気に楽しめるイベントです。
動物園内に落ちている動物の毛や羽や角などを使って、グッズづくりもします。
三度のメシより旭山
三度のメシより旭山というイベントに参加すると、動物園の飼育員さんの仕事がわかります。
参加者は、動物の飼育や動物園内の仕事を手伝うことができます。
これは数あるイベントのなかでも特に人気があって、すぐに参加者が埋まってしまいます。
早めに予約してください。
自然観察会
自然観察会では、飼育員さんたちと一緒に旭山動物園の隣にある旭山公園に行って、自然のなかの動物や植物を観察します。
昆虫を採ることもあります。
サマースクール
サマースクールは「がっちり勉強する」子供のためのイベントです。
そのため参加できるのが小学校5、6年生に限定されています。
3日間みっちりと飼育員さんたちと一緒にすごします。
参加者は飼育や作業を手伝います。
ここで紹介した旭山動物園のイベントは変更することがあるので、動物園に行く前に調べましょう。
参加するのに事前予約が必要なものもあります。
まとめ~これをフィールドワークといいます
動物園での勉強は学校での勉強とまったく違うことをわかっていただけたでしょうか。
ただ実は、動物園の勉強と学校での勉強は「つながって」います。
そして本当の勉強というものは、机に向かって本を開いて学ぶ学習と本物に触れて学ぶ学習をドッキングさせたものなのです。
動物園で動物たちを観察してわからないことがあったら、家に帰って図鑑などの本で調べましょう。
本で興味を持った動物が見つかったら、動物園に行って本物の動物を観察しましょう。
本読みと動物観察を繰り返すことで、動物博士になるために必要な知識が身につきます。
学校の勉強や、本を読む勉強はつまらないと感じるかもしれませんが、動物観察のように本物に触れると「もっと知りたい」と思うようになります。
学校の勉強や本は、もっと知りたいことを教えてくれます。
外に出て本物に触れる形で勉強することを、英語でフィールドワークといいます。
動物園勉強は、フィールドワークの一種です。
フィールドワークをして初めて勉強の面白さに気がつく子供はたくさんいます。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。