宿題や勉強をなかなかやらないお子さんに頭を抱えていませんか?
今回の記事は、そんな親御さんのために向けたアドバイスを中心にご紹介します。
子供には積極的に関わっていこう
子供が宿題をせず、「いつかやる気が起きるだろう」と放置することはおすすめできません。
積極的に子供に関わりましょう。
子供は、勉強や宿題をしなくてよい環境を与えられると、ほとんどの場合その環境に甘えてしまい、「そろそろやり始めなければならない」と焦り始めることはありません。
宿題をしないことが当たり前になり、次第に、宿題を命じられることを理不尽に感じるようになるでしょう。
宿題嫌いが勉強嫌いになり、勉強ができない体質になってしまうのです。
もしそのまま成長したら受験勉強も上手にできない子供になってしまうかもしれません。
そうなったら子供が可哀想です。
子供が自発的に宿題をしないのなら、保護者がさせましょう。
ただし強制は禁物です。
子供とのコミュニケーションを深める方法で「宿題好き」「勉強好き」に導いてあげましょう。
そもそも宿題はさせたほうがいいのか
宿題とは、学校の授業や塾の講義で教えきれないことを、子供たちに学ばせる行為です。
子供を伸び伸び育てたいという発想から、むしろ子供に宿題をさせたくないと考える方もいるかもしれませんが、宿題はさせたほうがいいでしょう。
宿題には、次の3つの効果があるからです。
- 約束を守る訓練になる
- 勉強習慣をつくることができる
- 予習効果と復習効果
宿題をさせることは1約束を守る訓練になります。
宿題は先生と子供の約束です。
したがって仮に子供が、宿題をしなくても授業に追いつくことができても、教師から出された以上宿題は最後まで仕上げさせなければなりません。
「宿題をしなくてよい」と思い始めた子供は、「大人との約束を破ってもよい」と思うようになるでしょう。
宿題には2勉強習慣をつくる効果があります。
勉強をする習慣は子供の財産になります。
自宅学習が苦にならなければ、受験勉強にスムーズに移行できます。
また、多くの大人は、社会に出ても勉強しています。
しかし子供のころに勉強習慣を身につけなかった人は、大人になっても勉強がはかどりません。
宿題の3予習効果と復習効果も、子供たちの財産です。
予習とは調査です。予習的な宿題を重ねれば、教師による口頭説明を受けなくても、自分で教科書や参考書を読んで知識を身につけることができるようになります。
復習とは、知識を記憶に定着させる行為です。
授業を100%理解できているのに、試験の結果が悪い子供がいます。
それは、理解することと試験で得点することは別の行為だからです。理解だけできても、それは学んだことになりません。
復習をして記憶に定着させ、いつでも使える知識にしておかなければ、「学んだ」とはいえません。
「机はトモダチ」楽しい雰囲気をつくろう
子供に宿題をさせる第一歩は、自宅の机を好きにさせることです。
親子で机を快適空間にするよう、工夫してみてください。
例えば、子供のお気に入りのフィギュアを学習机に並べてもいいですし、ゲームは机でやるというルールをつくってもいいでしょう。
「机の前に座っていると気持ちが落ち着く」と子供が感じるようになったら成功です。
机に対する嫌悪感が芽生えてしまうと、宿題をしなくなってしまいます。
そして保護者は、机の上の整理整頓を手伝ってあげてください。
おもちゃや漫画が山積みされた机では、勉強に集中できません。
机に並べたフィギュアもゲームも、勉強するときは別の場所にしまいましょう。
机の上の整理整頓は、最初のころは保護者が片付けるコツを教えてあげてください。
つまり、遊ぶ空間と勉強する空間を同じ場所にすることで、「やろうと思えばいつでも勉強に取り組める環境」になります。
また、勉強には欠かせない文房具も良いものを揃えるだけで気持ちが入るものです。
おすすめ文房具については以下の記事をご覧ください。
宿題の意義を理解させる
「やりたくないこと」を「やりたいこと」にするのは至難の業です。
まずは子供に、宿題は「やらなければならないこと」であることを理解させましょう。
先ほど紹介した「1約束を守る訓練」「2勉強習慣をつくる」「3予習効果と復習効果」を、子供に説明してあげてください。
世の中には、やらなければならないことがたくさんあります。
それらから逃げていては、この厳しい世界をわたっていけません。
子供にとっての宿題は、人生で最初のやらなければならないことのひとつです。
保護者が子供に宿題をさせるのは、やらなければならないことから逃げてはいけないということを教えることでもあるのです。
キッチン学習を許可する
子供部屋に1人でこもって勉強することが苦手な子供には、キッチンで勉強することを許可してあげてください。
対面式のキッチンの場合、料理をする親の目の前で子供が教科書や問題集を広げることになります。
これでは集中力は高まらないのですが、それでも宿題をしないよりは「全然マシ」です。
一気にベストに到達するのではなく、まずはベターを積み重ねましょう。
宿題と試験結果をリンクさせる
宿題をすると試験の結果がよくなることを、子供に実感させてください。
例えば、ある期間集中して宿題をさせます。
すると成績がよくなります。
しかし次の期間、宿題をサボらせると成績が落ちます。
この経験をした子供は、宿題というストレスを受けると成績という報酬が得られることを学びます。
これにより、良質なストレスを受けることは悪いことではないことを知ります。
また、親がしっかり子供の宿題をみてあげれば、宿題で繰り返し勉強した分野と、試験で解答できた問題が同じであることに指摘してあげられるはずです。
「ね、宿題をしたからこの問題が解けたんだよ」と教えてあげれば、子供は「宿題のコスト」が割安に感じられるようになるでしょう。
これは努力の成果を「見える化」することに他なりません。
「座り苦手」な子供には「15分勉強」をすすめる
上記で紹介した方法を試しても子供が一向に宿題をしない場合、その子は宿題嫌いでも勉強嫌いでもなく、長時間座り続けることが苦手なだけかもしれません。
そのような子供には「15分勉強」が有効です。
子供に「勉強は15分しかしなくてよい」と言ってあげるのです。
すると座り苦手な子供でも、15分なら座って勉強します。
そして15分後には遊ばせてあげます。
15分勉強を数カ月続けたら、15分勉強を1日2回させるようにして「15分勉強→ゲーム→15分勉強…」を習慣化していきます。
帰宅 → 15分勉強 → おやつ → 15分勉強 → ゲーム →15分勉強 → マンガ → 15分勉強 → 夕飯 → 15分勉強 →風呂 → 15分勉強 → テレビ → 15分勉強 …といった流れ。
これを続ければ習慣がついてきます。
これだけで1日105時間勉強させることができます。
そのうち子供自身が効率化を考えるようになります。
「帰宅→15分勉強→おやつ→15分勉強→ゲーム」を「帰宅→30分勉強→おやつ&ゲーム」に変更するようになるはずです。
これで30分勉強が身につきます。
保護者は手を抜かない「本気で宿題をみる」
「保護者が宿題をみる」ことは、子供に宿題をさせるうえでとても重要です。
しかし宿題をみるといっても、単に机の前に座っている時間を計測するだけでは効果は期待できません。
親も本気で宿題をみましょう。
少なくとも子供の宿題の内容には目をとおす必要があります。
子供が勉強につまずいたら、親が教えてあげたり、もしくはインターネットで調べてあげたりしてください。
親が子供に宿題を命じると、子供は「大人は子供に強制できるからずるい」と考えます。
保護者がいくら「宿題をさせているのは君のため」と教えても納得しないでしょう。
子供のために宿題をさせていることを理解させるには、保護者が本気にならなければなりません。
先ほど、宿題の内容と試験の内容がリンクしていることを子供に理解させるようにしましょう、とアドバイスしました。
これを実行するには、親が宿題と試験の内容の両方を把握する必要があり、仕事を持っている親にとっては大変なことです。
しかし子供に学習習慣を身につけさせることは簡単なことではありません。
したがって、子供に宿題をさせることが「大変」なのは当然です。
子育てで手抜きをしないように、宿題チェックもしっかり取り組んでください。
子供は必ず、その労に報いてくれるはずです。
命令や強制はしない
「宿題をさせる」といっても、命令や強制はなるべく使わないようにしましょう。
宿題をさせることは躾(しつけ)のひとつなので、ときに命令や強制を発動せざるを得ないときもあるでしょう。
また反抗期を迎えた子供には、命令や強制が有効な場合もあります。
しかし、長期間にわたって命令や強制を続けていても「いいこと」は起きません。
子供は悪質なストレスを抱えることになり、成長に悪影響を与えます。保護者自身も心がすさんできます。親子仲も悪くなってしまいます。
命令や強制は「伝家の宝刀」として保存しておき、日常的にはコミュニケーションを重視した方法で宿題をさせていきましょう。
勉強に根性論は通用しません。
なぜなら、本物の学びは喜びを生むからです。
子供に宿題をさせるのも、勉強をさせるのも、知的欲求をかなえたときの快感を教えるためです。
もしくは、知的欲求を強化させて「もっといろいろなことを知りたい」と思わせるためです。
命令や強制を常態化してしまうと、子供は不快を遠ざけるために勉強をするようになってしまいます。
「叱られたくないから勉強をする」というマインドになってしまうと、知的欲求を高めるどころか、「勉強=悪」というイメージを持ってしまいます。
宿題をチェックしすぎるのはダメ
親が宿題をチェックしすぎるのも禁物です。
保護者の監視が強すぎると感じた子供は、隠すことを覚えるようになり、「宿題は出ていない」と嘘をつくようになるかもしれません。
子供に勉強をさせるには、緩急が必要です。
つまり一定期間、一生懸命宿題に取り組んでいたら、しばらくは手綱(たづな)を緩めてあげることも大切です。
まとめ~生涯学習につなげることが理想
子供に命令したり強制したりして宿題をさせると、子供は勉強を回避する方法を考えるようになるでしょう。
これは子供を勉強から遠ざける行為です。
子供に宿題をさせることのゴールは、子供が自発的に勉強を始めることです。
そのためには、宿題をするメリットを教えてあげ、勉強の苦痛を減らす環境を提供しなければなりません。
子供が自然に「そろそろ宿題をしなきゃ」と思うようになることが理想です。
勉強を苦にしない性質は子供の宝物であり、保護者はそれを「宿題をさせる」ことで子供に与えることができます。
お子さんが勉強をしないとお悩みの方は、今回の記事を参考にしてみてくださいね。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。